4.今後、学校は「いじめた側の賠償責任」についても児童生徒に教えるべき
いじめ事件が起きると、「子供だから逮捕されない」、「刑事罰はない」という言葉がささやかれます。しかし、いじめたことの責任は負わなければなりません。学校は、この判決を示し、子供たちに、「軽い気持ちでいじめをしても、その責任は重くのしかかってくるんだ」ということを教える必要があります。
判決後に父親が記者会見し、「いじめは人を自殺に追い込む恐ろしい行為なのだということを、何とか証明したい」「いじめ被害をなくすために闘うことは、私に託された息子の最後のメッセージだと思うようになった」と述べたことが報道されています。
子供たちが、この判決に触れることによって、いじめを止めること、また、いじめたくなる気持ちを抑えることができるように、教師は導いてあげて欲しいと思います。
5.その他
判決としては素晴らしいものだったと言えますが、保護者としては納得がいかない点もいくつか残ります。
加害者側についての判決はでたのですが、学校側についての判決はありませんでした。報道によると学校側とは2015年に1,300万円で和解しているために、分離されていたとのことです。学校側に対する裁判所の判断が「判決文」として残らなかったことに悔しさを感じています。今国会で審議されるはずの「いじめ防止対策推進法」の改正案の、教師の隠蔽等に関する懲戒規定が一刻も早く成立することを願ってやみません。
また、報道された判決の要旨を読むと、1人の子に対しての請求は棄却されています。いじめや暴力行為を行ったことは間違いないのになぜ棄却されるのか納得できません。全くの無関係で、いじめ行為が全く無かったのならそれでも良いのですが、いじめや暴力行為はあったのですから、その責任は追求されるべきだと思います。加えて、加害者側の保護者の責任についても言及すべきだと考えます。
裁判すること自体、御遺族にとっては大変なご負担だったことだろうと思います。勇気も時間も様々なものを犠牲にされて戦ってきたのだろうと推測されますが、この判決は、日本全体に大きな影響を与えたことは確かだと思います。
私たちもこの痛ましい事件を忘れることなく、いじめで苦しんでいる子供たちの力になっていきたいと思います。間もなく3月、学年末を迎えます。いじめなど不安なことがありましたら、ご遠慮無くご相談ください。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明
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