もう紙の時代は終わったのか。労働条件もメールやSNSで送信可能

 

深田GL 「2点目は、電子メール等による送信においては、電子メール等の記録を出力することで書面が作成できるものに限られているということです」

T社社長 「考え方は、事業所ごとに置いてある、賃金台帳データと一緒ということだね。前に、本社以外での労働基準監督署の調査でデータでの備え付けでも良いが、すぐに印刷できるか?っていうことが条件だって是正勧告を受けたことがあるよ」

新米 「PDFファイルを添付する方法なら、そのまま印刷できますね。見やすくはないけれど、メール本文に労働条件を記載することでも問題ないと考えられます」

T社社長 「PDFファイルは便利ですね。メール本文でもいいなら、できなくはないか。でも、フォーマットをつくっておく方がいいかな」

新米 「ところが、SNSのメッセージ機能については懸念があります。LINEなどは、メッセージを画面に表示するものであり、印刷を想定しているものではありません。SNSを使う場合は、やはり添付ファイル併用になるでしょうね」

深田GL 「3点目は、受診者を特定して送信するということです。労働条件の通知なんですから、労働者個人あてに送信することは当然のことといえば当然ですね。」

新米 「個人のメールアドレスやファクシミリは問題ありません。しかし、グーグルの共有チャットや部門別の共有フォルダへの格納といった方法はNGということです」

T社社長 「そりゃそうだな、個人情報だもんな。会社としても他の人に見てもらっちゃぁ困るよ。たまに見せ合いっこして、文句を言ってくる人があるんだよ…」

深田GL 「電子化のメリットは、採用や契約更新時における事務の効率化です。事業所がたくさんあり、パートさんやアルバイトが多い会社では、効率化できるでしょう。また、現場の管理者では労働基準法への理解不足が懸念される場合は、リスクヘッジができますね」

新米 「PDF化など電子データにして管理した方が検索も楽だし保管場所もとりません

T社社長 「そうだね。でも、うちは、通知でなく、署名・押印をしてもらう雇用契約書と言う形にしているんだ。この場合は、どうしたらいいかなぁ」

深田GL 「労働基準法では、通知の義務があるだけですが、労使間トラブルを防ぐためには、契約書の形式の方がより良いですね。その場合は、両者の合意を電子的に記録する『電子署名』や『認定スタンプ』といったものを利用することも可能ですよ」

T社社長 「『電子署名』?『認定スタンプ』?」

深田GL 「うちもまだ導入はしていませんが、『HRテック(ヒューマン・リソース・テクノロジー)』という人事や人事関連の業務を遂行する技術を取り入れる会社も増えてきていますね」

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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