2つ目の提言はそこです。
氷河期世代、あるいはロスジェネの人々も、とにかく専門職の職業訓練の機会を持つべきです。公的助成のカネを入れるならここです。方法論としては、大学や大学院などのコースで、「現在、即戦力となるスキル」を身につけて、堂々と労働市場での競争力を身につけて行くのです。
具体的には次のような可能性があります。
1つは、日本式経営における管理監督ですが、これは本人たちもやりたくないし、企業側もやらせるのはイヤでしょう。それ以前に、そもそもオワコンなのでスルーでいいでしょう。
2つ目は、何といってもプログラミングです。小学生に教えるという話もありますが、コンピュータへの周辺知識はある世代ですし、高学歴や高い地頭(じあたま)の能力を持て余している人もいると思います。3年で一人前になれる世界でもあり、絶対にやるべきです。
3つ目は、英語の事務、接客、サービスです。とにかく需給関係で、伸びるのは間違いないので、ここに注力することは大事です。
4つ目は、IT化・自動化した職場の運用です。ここでは、使えない中高年の高給取りを追放して、その代わりにロスジェネが仕事を奪うことは十分に可能ですし、成功事例さえできれば伸びるのではと思います。
5つ目は、日本語での接客サービスですが、非正規としてロスジェネが耐えて支えてきた分野であり、ここは「最低賃金アップ」とか「労基法規制のさらなる厳格化」などで、老後資金まで貯められる年収を保障するように制度の網を張って行くべきと思います。インバウンドがもたらす売上増加を、しっかり現場労働者に還元することが肝要です。
6つ目は、起業です。別にコンサルとかIT業界のである必要はありません。街の食料品店、街の定食屋、ちょっとした居酒屋といった業態を、プリントアウトしたビニールの「宣伝のぼり」を立てた全国チェーンの「ヘトヘトなフランチャイズ」ではなく、一軒一軒がしっかり自立した「一国一城の主」にするのです。そのような転換により、多くの人々の人生を救済できるだけでなく、経済成長への契機がつかめるのではないでしょうか。
非常に大枠な議論となりましたが、とにかく終身雇用から「専門職制度へ」、大企業の意味不明なヒエラルキーとペーパーワークをぶっ壊して、経済の活力を「現場へ」という2つの変革をしっかり行い、そこにロスジェネ世代の人生の再スタートといいますか、人生の中盤からの逆転劇が可能なようにして行く、これが大きな意味で対策の根幹になると思います。
そのような改革の志のないままに、チョロチョロと補助金をバラまくのは愚策です。それこそ赤木氏の指摘しているように、何も前には進まないでしょう。
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