2千万人もいる「就職氷河期世代」の救済に、バラまきがNGな理由 

 

心配なのは支援策の具体案です。現在出ている議論としては、ハローワークや大学等が連携し3年で対象者半数の雇用を安定化させるとしています。また、中途採用等支援助成金などの要件を緩和することも考えられています。地方への人材移動の促進も検討されています。

こうした対策で「当面の効果になる形でカネで何とかする」ということでは、問題を先へ進めるのは難しいと思います。というのは、この種の金を流すという手法はこれまでも何度か使われてきたからです。

例えば、この「ロスジェネ世代」を代表する論客である赤木智弘氏は、

これまで国は就職氷河期世代に対して、決して無策だったわけではない。雇用助成金などを中心に、就職氷河期世代の雇用を促進しようと頑張って来たのである。しかし残念ながら、その対策は結局は実を結ばなかった。(中略)結局のところ「企業の良心」や「企業のお情け」を期待して政策を打ったところで、企業だって営利で動いているのだから、儲からないことはやらないというだけの話である。なので、政府がいくら「集中支援」とやらを行ったところで、同じ失敗を繰り返すのは目に見えている。

まだ見ぬ、人生再設計第X世代へ(赤木智弘)

という厳しい指摘をしています。

ではどうしたら良いのでしょうか?

2つ提言したいと思います。

まず第1の問題は「氷河期世代がどうして生まれたのかという原因を特定することです。それは、彼らが新卒で就職する時期に、特に新規採用が細っていたから、ではありません。そんなことは現象の一つであって理由ではないのです。

原因は、「大学卒業後1年以内(新卒)か、一度の就職でミスマッチを起こしただけの25歳前後(第二新卒)」でなければ、年功序列の正社員エスカレータには乗せないという制度にあります。

どうして「年功序列の正社員エスカレータ」には、それ以外の、例えば30代であった時期、あるいは現在の「氷河期世代」は乗れないのかというと、大企業の組織は年功序列がそのまま給料と職位に結びついているからです。

例えば35歳の新入社員を入れてしまうと、給与は新卒の月額21万円になりますが、同じ年齢で入社13年目の人間はすでに管理職で月収55万とかになっていると、その差は激しい訳で、そのような「不安定な例外を企業は嫌います

また、35歳の新入社員というのは、28歳の主任とか33歳の課長からすると、面倒で扱いにくいわけです。上下関係を体育会的に決めつけたい会社の場合、年齢と職位がここまで離れた例外というのは迷惑以外の何物でもありません。

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