辞めればいいってものじゃない。「責任の取り方」について考える

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「今回の件では私が責任をとります」、はたまた「君に責任がとれるのか」。職場でこうしたセリフを耳にすることが少なくありません。しかし、その「責任」という言葉の意味合いは、使う人によって微妙に違っていたりもします。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、「責任を負う」ことの本質的な意味を考察しています。

「責任は私がとります」は本当か

「責任をとる」ということについて。

「責任は私がとります」

かっこいいセリフである。ところで、これはどういうことを指すのか。ネットで「責任」という意味を調べると、辞書的には次のようにある。

人や団体が、なすべき務めとして、自身に引き受けなければならないもの。責め。

正直これだけだと、意味がわかりづらい。なぜこんなことを言い出したかというと、最近「危機管理」ということについて学ぶ機会が多いためである。

例えば事故に対して責任を負うとはどういうことなのか。あるいは学級の子どもが「何があってもぼくが責任をもちます」ということは可能なのか。次のように考えてみる。

  • 責任を負う=何かミスやトラブルがあって損害を出した時には、その回収と復旧を最後まで行う

こう考えると、責任がとれるものととれないものが出てくる。例えば、お金に関わること。これは支払い能力さえあれば、責任がとれる。

「責任をとって辞表」というのもあるかもしれないが、本質的にそれで被害を回収できているかどうかが全てである(それができないで辞めるだけなら、人一倍働いて少しずつでも返した方がいい)。

自分が起業にチャレンジして失敗しても責任がとれるかもしれない。それは、あくまで自分の人生だからである。自分で選んだことで、損害を被るのも自分だけなら、完全に責任がとれる。

一方で、例えば、人命に関わること。これは、「命を蘇らせる」という神業ができるなら可能である。つまり、基本的に不可能である。命を失う危険性のある行為に対しては本人以外に本質的な責任はとれない(だから医師は、万が一の時の責任がとれない以上、手術の際には必ず本人の「同意書」をとる必要が出る訳である)。まして、未成年は保護者がその責任を連帯しているため、子ども自身が何かしらの責任をとるのは不可能である。

さて、卑近な例で、子どもが学級においての活動に責任をとれるかということについて。これは、失敗した時の回収行為を最後までやり切れるかということで判断できる。大抵の場合、これは基本的に無理である。

その許可によって学級の誰かがけがをしてしまったら、けがをさせた子どもではなく、許可を出した大人の責任である。だから、学級での行為については結局担任が全責任を負うことになる。その覚悟で「自由」を与えることになる。

また別の例として、子どもが「責任を自分がとります」といって「席替えを自由」にして、仮にいじめが発生したとする。当然、子どもに責任はとれない。担任が100%失敗回収の義務を負うことになる。

その前提の上で「OK」を出すということである。つまり、学級集団への信頼度がすべてである。そこが危うい状況なら当然OKできない

とどのつまり、自由というのは責任とセットであり自由の連帯保証人として責任をとる人が必要な訳である。危うい相手への連帯保証人は「御免」というのが当然である。

また「担任が責任をとるというのも実は本質的には難しい。責任の追及が、大抵は管理職にまで及ぶからである。更には、その設置者である教育委員会にまで及ぶものもある。つまり、学級担任のところで押しとどめられるレベルのことまでしか、本当に責任をとることはできない。

そう考えると、学級担任は、意外と裁量の範囲が狭いのである。だからこそ、裁量権のある管理職の在り方に大幅に行動を左右されることになる。

責任をとれる。それは、自由であるということと同義である。せめて自分の人生には責任をとれるようにしたい。

image by: Shutterstock.com

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