【書評】ネットが浸透している今、新聞は「現実」だけを報道せよ

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部数減に苦しみ、その存続すら危ぶまれる新聞各社。ネットの普及等が原因と言われますが、彼ら自身に「責任」は無かったのでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、気鋭の評論家が新聞社に鋭く斬り込んだ一冊を取り上げています。

偏屈BOOK案内:門田隆将『新聞という病』

81hMIZYjGHL新聞という病
門田隆将 著/産経新聞出版

裕福な頃は朝日と読売の2紙を購読していたが、貧乏になったから1紙にした。妻は迷わず読売ジャイアンツ新聞を選んだ。正解である。というより仰せの通りでございます。朝日と毎日の偏向がますます病的になってきた。2紙は新元号が漢籍からではなく和書から採用になったことが気に入らず、イチャモンをつけた。まだそんなことをやっているのか。日本を貶めたい日本の新聞……。

新聞記者様はエラくお成りになった。自分を特権階級であると思い込み、記者会見を自分の「意見表明」の場であると勘違いしている三流紙の女記者もいる。新聞の紙面の劣化はもはやどうしようもないレベルに達している。「ネットの浸透とともに、部数が猛然と減り続ける新聞業界の中で生き残るのは『現実』を見据えたものだけになるだろう」という元記者(著者)の指摘は正しい。

著者はジャーナリストとして唯一、福島第一原発の所長・吉田昌郎氏に生前、長時間のインタビューを行った。吉田氏だけでなく「あの事故の際、福島第一原発で何があったのか」「現場の人間はどう闘ったのか」をテーマに、100人近い人々にすべて実名で証言してもらった。吉田氏本人には、あらゆるルートを使い1年3か月にわたって説得を続け、2012年7月にやっと取材に成功した。

2014年5月20日から朝日が始めた「吉田調書」記事は、大規模なものだった。その記事で2011年3月15日朝、福島第一(1F)の東電職員の9割が「所長命令に違反」して、「原発から撤退」していたと報じた。それは朝日が入手した政府事故調による「吉田調書」によって明らかになった、という大スクープだ。しかし、その記事には「命令違反して所員が撤退という吉田氏の証言はない

3月15日朝、免震重要棟に残っていた1Fの職員、協力企業の人々は約700名、吉田が退避命令を発したのは午前6時半頃。著者は100名近い関係者から所長命令の証言を得ているので、当然この時は多くの職員が所長命令に従って撤退したことを知っていた。しかし、朝日は真逆の「命令に違反して撤退したとウソを書いた。放射線量の単位を使い分けるという、入念な悪意まで駆使して。

この巧みな印象操作による記事に、世界中のメディアは大きく反応した。朝日は日本人を貶めることに大成功した。「1Fに残れ」という所長命令、という朝日の報道に、職員はどんな感想を持ったか。一番安全な免震重要棟から離れて、1Fのどこに避難するのか、防護マスクはどうする、そんな命令を所長が出したら、所長が「正気を失った」ということだ。と、同じ反応が返ってきた。

政府事故調は吉田氏を含む当事者772名に1,479時間に及ぶ聴取を行い、事実と認定された448ページに及ぶ「最終報告書本文編」にすべてを書いたが、「命令違反による撤退なかった。朝日は現場の当事者たちに裏取りをしたのだろうか。著者は当事者を多く取材しているが、「所長命令に違反して」撤退した人間など一人もいなかった。一糸乱れず「命令に従って2Fに移動した。

朝日は日本を救うために奮闘したそんな人々を、世界中から嘲笑されるような存在に貶めた。著者はこの問題を雑誌などに書いて、朝日から「法的処置を検討する」という抗議を受けている。後に、朝日は自らの誤報を認め著者に謝罪した。「朝日新聞が日本人を貶める目的は一体、何だろうか。私には、それがどうしても分らないのである」とお上品に結ぶが、知らない筈がない

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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