【書評】さくらんぼ計算って何?いい大人ほど知らない今の教科書

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お子さんに勉強を教えようと教科書を見たら、かつて自分が習った内容とどうも違う…、そんなエピソードをよく耳にします。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが取り上げているのは、そんな教科書の変化を紹介した一冊。情報のアップデートにお役立ちの内容ですよ。

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いつの間に?! ココまで変わった学校の教科書
コンデックス情報研究所 著/青春出版社

教科書は昭和~平成~令和で驚くほど書き換えられていた。その具体例を並べてみよう。「大化の改新乙巳いっしの変」へ。30代より上の世代は「大化の改新」だった。20代は、「大化の改新」とあわせて「乙巳の変」と習っているかもしれない。10代は「乙巳の変」が主流になっているらしい。

昔の教科書には「645年に大化の改新が起こった」と書かれていたが、現在の教科書には「645年(大化元年)に蘇我蝦夷・入鹿を滅ぼした。これを『乙巳の変』という」という記述になった。645年に起きた事件の名称が変わっただけでなく、現在は、その後に行われた一連の改革を「大化の改新」という。「645年に出された改新の詔に基づいて政治改革がなされた」という内容だ。

鎌倉幕府の成立は「イイクニつくろう鎌倉幕府」で1192年、いまの30代後半以上の人は必ずそういう。しかし、現在では鎌倉幕府の成立は1185年になっている。1192年は源頼朝が征夷代将軍に任じられた年で、実際に武家政権としての鎌倉幕府がスタートしたのは1185年だという。イイクニからイイハゴ(?)になった。

江戸時代は身分秩序が重んじられた時代で、「士農工商」はそれを表す重要語句として必ず教科書に載っていた。現在の小中学校の教科書では「士農工商」は見られなくなり、小学校の教科書では、社会が様々な身分の人で構成されていたこと、中学校はその身分には上下があったことが示されるだけになった。「士農工商」は支配関係を表す言葉ではなく固定されていた身分をいう。

昔の教科書は一時期「北朝鮮と韓国に戦争勃発」と、曖昧な表現をしてきた。当時の新聞報道の「北朝鮮が侵攻してきた」は事実だったが、「北朝鮮軍の南進」か「南朝鮮の北進」かの議論が続いていたので、表現をぼやかしたらしい。太平洋戦争は「真珠湾攻撃」から始まったと、教科書も映画も小説も書いていたが、最近の教科書では「マレー作戦により開戦したと記述が変わっている。

人名表記が変わったものがいくつもある。

  • リンカーン→リンカン
  • ルーズベルト→ローズヴェルト
  • マゼラン→マガリャンイス
  • ガンジー→ガンディー
  • ジュリアス・シーザー→ユリウス・カエサル

国名や都市名の表記変更は当該国の都合だからそれに合わせなければならない 

  • ビルマ→ミャンマー連邦共和国

今の大人で教科書から「情報化社会」について学んだ人はいないだろう。現在は小1からパソコンの授業がある。どの学年の教科書にも「インターネットの活用の仕方」がある。小5では「メディアリテラシー」という言葉を用いて、インターネット上の情報をどのように使用すべきかを扱っている。高校では大きな視点から「情報化社会が政治や企業にどのような影響を与えるか」書かれている。

小学校の算数がむずかしいぞ。分数は小3から、速さは小6から、だったがそれぞれ小2、小5となった。小1の「さくらんぼ計算」なんて知らんがな。「速さ」と「密度」も一緒に習う。小学校の4年間で600~700語の程度の英単語と基本的表現も学ぶ。中学校では英語の授業はすべて英語になる。いろいろな科目でプログラミングが活用される。嗚呼、昭和の小中高大生でよかった。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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