その慣れが致命傷。「わかったつもり症候群」が職場を破壊する訳

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仕事や人間関係において、馴れてきたときに生まれる「そこまで言わなくても大丈夫だろう」という慢心は、往々にして後に、信じ難いミスを引き起こしてしまうものです。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』では著者の石丸智信さんが、そんな「わかったつもり」が招く実害と、その防止法を記しています。

それは「〇〇しているつもり」になっていませんか

かなり前に、『知ってるつもり?!』というテレビ番組がありましたが、以前聴講した研修の中で「つもり症候群から脱出することの大切さについて取り上げた講義がありました。この講義を聴講して、この“つもり症候群”でいることによって、物事がうまくいかないことに加えて人の成長を妨げるように感じました。

本号では、“つもり症候群”の状態、状況などについて考察していきたいと思います。

知っているつもりだった」「言っているつもりだった」「分かっているつもりだった」など、「〇〇している“つもり”」というような状態、状況などを経験したことがあるのではないでしょうか。

研修において講師は、「“つもり”というのは、実際はそうではないがそうなっているような気持ちのこと」と、講義していました。いわゆる、自分の中で“勘違い”している状態、状況と置き換えることができるかもしれませんね。

運転免許を取得、更新された方は、聞いたことがあると思いますが、交通事故につながる状況状態のひとつとして挙げられるのが、「“だろう運転」です。例えば、「対向車は来ていないだろう」「歩行者はいないだろう」など、こういった自分の中での“だろう”が、事故につながってしまうと言われます。

“つもり症候群”の講義を聴いて、“だろう”運転に加えて、“つもり”運転も事故につながるな、と感じました。「信号を見ている“つもり”」「歩行者を確認している“つもり”」など、この“つもり”運転も、重大な事故へとつながってしまうように思います。

交通事故に限らず、“つもり”症候群になってしまうと、重大なミス失敗につながってしまうのではないでしょうか。

別の研修の中でも、相手に「伝えている“つもり”」で失敗した事例について、お話を聴いたことがあります。それは、その研修に登壇していた講師が、その当時、上司として部下にお客様に提案する提案書を作成して欲しいと依頼した時のことです。

上司は、「お客様に〇〇という提案をしたいから、△△の提案書を金曜日までに作って欲しい」などと内容を詳細に伝え、部下も上司からの依頼に「分かりました」と応えたそうです。

そして、期限である金曜日になり、上司が部下に「提案書はできているかな?」と訊くと、部下も「できています」と応えたのですが、その提案書を見て、上司であった講師は、ビックリしたそうです。なぜなら、上司が依頼した提案書の内容と部下が作成した提案書の内容がまったく違ったからです。

上司は、「えっ、こんな内容の提案書をお願いしたっけ」と部下に訊くと、部下も「依頼された内容の提案書です」と言ったそうです。その提案書は、その金曜日当日にお客様に提案する案件でしたが、まだ時間があったこともあり、部下と一緒になって提案書を作り直して、そのお客様に無事、提案することができたそうです。

この経験から講師は、指示や依頼する時には、その内容を部下に復唱させてお互いに確認を取るようになったそうです。まさに、物事を軽々に「分かった」と思わせず、本当に理解させているか、と確認することが大切ですね。

これは、自分と相手との関係だけでなく、自分の中で思い込んでいる「○○している“つもり”」という状態、状況でも当てはまるでしょう。

自分の中で「知っているつもり」「分かっているつもり」「努力しているつもり」などと思っている時こそ、「本当にそうなのか」と自問自答して確認していくことが大切なのでしょうね。そして、“つもり”ではなく、本当に理解してはじめて自分自身の成長につながっていくと思います。

ここまで“つもり”症候群について私なりに考察してきましたが、この“つもり”症候群から脱出することは、子どもたちが自ら成長していく上でも、そして、子どもたちの成長を促していくためにも必要なことではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 いしまるとものぶ 【発行周期】 週刊

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