恐ろしい自爆営業。元国税が明かす、かんぽより酷い税務署の実態

 

重箱の隅をつつく

となると、調査官たちはどういう行動にでるか?重箱の隅をつつくようなせこい税務調査を繰り返すようになるのです。その結果、本当に悪質な脱税を解明することはできず、それほど悪質ではない納税者をいたずらに虐めることになっているのです。

調査官たちは、納税者が不正を行っていないかどうか時間をかけて念入りに調査をするよりも、どうでもいいような些細な間違いを素早く見つける「重箱の隅つつき」にまい進するのです。

国税庁が税務調査で追徴税を課した事績のほとんどは、「期間損益の経理ミスです。これは、簡単に言えば、「期末の売上が翌期にずれこんでいたもの」です。決算期末の売上というのは、なかなか正確に計上しづらいものです。期中に商品を納品していたとしても、請求書の発行が、期末後にずれ込んだりすれば、翌期の売上として計上するようなことも多々あります。

調査官たちは、そういうものを見つけ出して「これは期中で処理するべき」として、追徴税を課すのです。期中の売上からは漏れていても、翌期の売上には計上されているので、長い目で見れば、課税漏れにはなっていないにも関わらずです。そういう「重箱の隅つつき」ばかりをしていて、納税者の信頼を得られるわけはないのです。

国税が毎年発表する「脱税白書」というのは、こういうノルマ稼ぎ、重箱の隅つつきがほとんどなのです。そして、課税漏れ事績の金額が、毎年、同じ水準になるのも、こういうノルマのためなのです。

国税は仕事をしているアピールをしたいので、なるべく多くの金額の事績をあげたい、しかし、ある年だけ突出して金額が多くなると翌年以降が大変になる、そのために毎年、同じ水準の事績となっているのです。そして、毎年、同じ水準の事績をあげるために、調査官たちは、過酷なノルマを課せられているのです。

こういう「足で稼ぐ昔ながらの営業」のような税務調査を、戦後からずっと国税庁は行っているのです。もちろん、時代に対応できているはずがありません。

現代では、昔のような「あからさまな脱税」は少なくなった一方で、海外取引やネット取引などを使った巧妙な脱税が増えています。

国税としては、全体の調査件数を減らしても、ちゃんと情報を収集し悪質と思われる納税者を絞り込み、準備をした上で徹底的な調査をするべきでしょう。その代わり、ちょっとした間違いや、勘違いによる課税漏れは指導にとどめる、そういう調査が、国民から求められているはずです。そのためには、海外取引やネット取引の人員を増やし、育成していかなければならないはずです。

そういうことは、普通の民間企業であれば何十年も前から行っていることです。しかし、現在の税務当局は、戦後からずっとほぼ同じようなやり方をしてきたのです。

組織としての近代化をおざなりにし、巨額に膨れ上がった富裕層の資産はスルーし、苦しくなっていくばかりの中小企業の重箱の隅をつついて、形ばかりの実績を残す…。それが、国税の本当の姿なのです。そして、この国税の姿は、日本の政府を象徴しているものでもあると筆者は思います。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)

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※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年12月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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