戦争回避でも危機は去らず。イラン司令官殺害「本当の悪影響」

 

ブッシュ(子)時代とトランプ時代の違い

ブッシュ(子)の時代、アメリカは、「2016年に自国の石油が枯渇するという予測に怯えていました。それで、ウソをついても、中東支配を進めなければならなかった。ところが、今は全然状況が違います。トランプは、こんなこともいいました。

トランプ氏は、自身の経済政策により中東の石油への米国の依存度が低下し、中東での米政府の「戦略上の優先事項」が変わったと説明。
(同上)

いつものように「自画自賛」(ウソ)していますが。ですが、「戦略上の優先順位が変わった」ことは間違いありません。トランプのおかげで変わったのではなく、オバマ時代のシェール革命で変わったのです。これで、アメリカは世界一の産油国、産ガス国になり、もはや石油枯渇を心配する必要がなくなった。結果、アメリカにとって「資源がたっぷりある」中東は、もはや戦略上の最重要地域ではなくなった。だから、「イランと戦争するなんて、命と金の無駄」ということなのでしょう

問題は、解任されたボルトンさんに代表されるネオコンが、イランとの戦争を欲している。この辺の駆け引きがあるので、どっちに転ぶのか読みづらくなっています

ソレイマニ殺害の本当の悪影響

今回の危機は、戦争したくないトランプの決断で、沈静化しそうになってきました。しかし、ソレイマニ殺害の本当の悪影響は残ります。それは、イランが、「核合意をもはや守らない!」と宣言したこと。ウラン濃縮濃度も、「イランの好きなようにやる!」と宣言した。これはつまり、「核兵器開発に邁進する」と解釈されても仕方ありません。

アメリカは、いつまでもこれを放置して、イランが北朝鮮のような核保有国になるのを許してしまうのでしょうか?それとも、核施設を空爆して、イランの核兵器保有を止めるのでしょうか?

危機は、まだまだつづいていきます。

image by: SNK777 / Shutterstock.com

北野幸伯この著者の記事一覧

日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝のメルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。まぐまぐ殿堂入り!まぐまぐ大賞2015年・総合大賞一位の実力!

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ロシア政治経済ジャーナル 』

【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

print
いま読まれてます

  • 戦争回避でも危機は去らず。イラン司令官殺害「本当の悪影響」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け