日々、時間に追われるビジネスマンにとって、目の前にあるタスクを「すぐにやる」ことは基本とされますが、その「基本」が当てはまらないケースもあるようです。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では現役弁護士の谷原誠さんが、「メールの返信」を例に挙げわかりやすく解説しています。
すぐやるだけが大切ではない
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
時間管理の基本は、「目の前にあることを、すぐやることだ」というのは、すでに多くの人に知られています。そして、実際、そのとおりです。
たとえば、メールの返信。メールの返信は、
- 読む
- 理解する
- 返事の内容を考える
- 返事を書く
- 送信する
という作業が必要です。
1度メールを読んで「後で返信しよう」とすると、1.から3.の作業を2回行わないといけないので、非効率的なのです。したがって、メールの返信は、読んだその場で返信していくのが効率化のために望ましい、ということになります。
しかし、「どんなメール」でも、その原則を貫くことはおすすめしません。返信するのに熟考する必要があるものもあります。
私は弁護士業務をしていますが、相談のメールなどが来て、簡単なものは、すぐに返信しますが、必ずしも調査が必要でなくても、あえて何度か読んで時間をかけるものもあります。そんな時は、
- 読む
- 理解する
- 他の仕事をして、その合間に思い出してより理解する
- 十分理解できたと思ったら、返事の内容を考える
- 返事を書く
- そのまま置いておいて、他の仕事をして、その合間に返事が適切かどうか考える
- 修正する
- 返信する
というようなプロセスを踏む場合があります。
はじめに読んだ時の理解した内容と、時間をかけて理解した内容では、理解の内容が異なる場合があります。だとすると、読んですぐ返信していたら、誤った前提での回答になってしまう可能性があります。
また、返事についても後で修正することが多々あります。これも、不適切な回答をしてしまう可能性があった、ということです。
したがって、効率化のために「すぐやる」ことは推奨されるのですが、それも内容や状況によるので、臨機応変に対応することが大切だ、ということになると思います。
メールを返信する前には、「相手からのメールの内容、意図の理解に誤りはないか?」「返信は、相手の求めに対応しているか?」「返信の表現で、自分の意図が誤解されず、相手に正確に伝わるか?」などを自分に質問するようにしましょう。
『人生を変える「質問力」の教え』(WAVE出版)
今日は、ここまで。
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