「鬼は外~!福は内~!」。今年も迎える節分シーズン。こうした日本の伝統行事に、幼少期は家庭や学校で特に深い意味も考えず参加していた方は多いのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、このような節分をはじめとしたひな人形や年越しそばなど、日本の伝統的なしきたりにまつわる「知るとほっこりできる豆知識」を記した一冊の書籍を紹介しています。
なぜ節分の豆は、炒った硬いものでないとダメなのか?
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- お正月に門松を飾る理由
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……などなど、知れば、「へーっ、そうだったんだ!!」と思わず誰かに話したくなったり、心がポッと温かくなったりするお話がたくさん紹介されています。
まもなく2月を迎えるにあたって、節分にまつわるお話をご紹介します。
節分の豆まきは春を迎えるためのステキな魔法
昔はエアコンなどなかったので、冬の寒さをしのぐのは大変でした。もちろんストーブもなければファンヒーターもありません。あるのは囲炉裏くらいのものです。だから戸や窓はできるだけ閉め切って、家の中に凍えそうな冷たい外気が入るのを防ごうとします。そのために部屋の空気はすっかり澱んでしまいます。
家のなかが外にいるのとおなじになっては困るので、わざわざ換気もしないでしょう。空はどんよりと曇り、陽射しも夏の輝くような強い光ではありません。冬の夜はとても長く、昼は短い。だから冬というのは、すごく暗く、寂しく、陰気なイメージでした。
陽気な春を迎えるには、溜まってしまった陰気なものを家のなかから追い出してしまわないといけません。陰気でいっぱいだと、陽気の入りこむ余地がないでしょう?
豆をまく儀式は「迎春呪術(げいしゅんじゅじゅつ)」だといわれます。ひらたく言うと「春を迎えるためのステキな魔法」です。「鬼は外~、福は内~」と豆をまく節分の行事は、昔の人たちにとっては、冬の「陰」を追い出して「陽」に変えて春を招く大事な行事だったのです。
節分の豆は硬くて炒ったものが必須
豆は鬼を追い払うための武器です。だから豆は硬くないとダメなのです。煮豆ではやわらかすぎて役に立ちません。豆まきには、炒った硬い豆を使います。
昔の人たちは語呂合わせや当て字の達人です。縁起かつぎが大好きなのです。豆にもこんな当て字をしました。
「魔目」→豆で「鬼の目を打つ」という意味。「魔滅」→「魔を滅する」、つまり鬼をやっつけるという意味です。
また、節分の豆まきに使う豆は、どうしても炒ったものでないといけません。生の豆は、鬼にぶつけたあとに芽が出たりして不吉と考えられました。そして何より「豆を炒る」の炒るを「射る」にあてて、「矢を射る」ことにかけたのです。
できれば「豆を炒る」作業も、自分で時間をかけて炒ったほうがいいのです。思いをこめて!鬼をやっつけないといけませんからね。
正式には豆まきは、2月3日の節分の夜に行います。節分の豆は、「新春もマメ(豆)に元気に過ごせますように」と願い、年齢の数を食べるようにといわれています。よく「自分の歳よりも一個多く食べるように」ともいいますが、昔は立春に一つ歳をとると考えられていたからです。これは、どちらの数でもかまいません。とにかく豆を食べて、一年の健康と幸せを願いましょう。
※ 節分の豆は、東北や北海道では落花生をまくところもあるようです。
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