日本式「クラスター潰し」の新型コロナ対策は本当に正しいのか?

 

都市封鎖の現状~アメリカ東海岸から

それにしても、事態は日替わりで動いており、しかもその動きが加速しています。

例えば、私の住む米国東海岸のニュージャージー州を中心としたタイムラインを振り返ってみることにしましょう。

  • 3月1日…隣のNY州で初めての感染確認
  • 3月4日…NYに隣接したバーゲン郡で州内最初の感染を確認
  • 3月6日…この時点では感染は4名
  • 3月7日…NY州では「非常事態宣言」
  • 3月8日…感染者累計は6名。一部で休校措置始まる
  • 3月9日…マーフィー知事「非常事態宣言」。感染者11名。プリンストン大学は、「リモート授業」移行計画を発表
  • 3月10日…初の死者、69歳の男性。後にクラスターの一部と判明。この日から州内の公立大学は一斉に「リモート授業」に移行。NY市北部のニュー・ロッシェルで大規模クラスター発生し、都市封鎖実施、州兵投入
  • 3月11日…トランプ大統領会見で「欧州からの入国禁止」のみを発表し、翌日の市場は大暴落
  • 3月12日…感染者累計29。マーフィー知事「250名以上規模の集会」を禁止。ジャージー・シティ市で夜間外出禁止。バーゲン郡で一斉休校開始
  • 3月13日…トランプ大統領は専門家と一緒に初めて誠実に会見を行う。以降の米国は、PCR検査の積極拡大へ転換
  • 3月14日…感染者累計は69。NYに隣接のホーボーケン市、夜間外出禁止令。2人目の死者、こちらは後にフリーホールド市の家族クラスターに属すると判明。このクラスターでは高齢の7人兄弟中4名が死亡という悲劇に。州内の刑務所で面会禁止。運転免許更新期限を臨時延長
  • 3月15日…感染者累計は98。マーフィー知事、夜間外出禁止を拡大を示唆。ニューアーク市でクラスターの疑われる事例発生。北部ティーネック町のユダヤ系コミュニティでクラスターの疑われる事例発生
  • 3月16日…感染者累計178。この日の死者3名。50名規模以上の集会禁止(NY州、CT州と共同歩調)。この日の夜8時をもって、レストラン、バーのイートイン営業禁止(同じくNY、CT州も)。ほぼ全州の小学校から大学まで休校(州の公式姿勢としては18日より一斉)。夜8時以降午前5時までの外出自粛
  • 3月17日…感染者累計267。そのうち入院加療は55%。この日の午後8時をもってショッピングモール、娯楽施設の営業禁止。失業率データを計算する州のシステムがクラッシュと発表
  • 3月18日…感染者累計427。死者累計5。サンフランシスコ(オークランド)帰港のクルーズ船「グランド・プリンセス」から9名の乗客が14日間の隔離期間を経て帰還。
  • 3月19日…感染者累計742。死者累計9。午後8時をもって美容院、ヘアカットなど営業禁止。東アジア系市民への暴言はハラスメント認定するという州検事総長の見解。住宅の差し押さえ、競売を当面延期する法律発効
  • 3月20日…感染者累計890。死者累計11。不要不急のビジネスは全面休業。州営のドライブスルーPCR検査場がバーゲン郡パラマスでオープン。但し4時間で予定数の654件終了。郊外鉄道のニュージャージー・トランジットは当面の間、休日ダイヤでの運転に
  • 3月21日…感染者累計1,327。死者累計16。感染は州内の全郡に広がる。この日の午後9時をもって全州で外出禁止令。具体的にはあらゆる集会禁止。許可されるのは、食料など生活必需品の買い出し、家族の訪問、許可された職場(スーパーや銀行)への通勤、通院、簡単な戸外運動に限る
  • 3月22日…感染者累計1,914。死者累計20。連邦議会上院は、2トリオン(220兆円)規模の経済刺激パッケージの可決に失敗
  • 3月23日…感染者累計2,844。死者累計27(感染者については2万を越えているNYに続く数字)。議会の対策決議失敗を受けて、FRB(連銀)は無制限の資産買い入れ措置を発表。一旦は株式先物がプラス反応するも、市場オープン後は下落に歯止めかからず。感染拡大を防止するために、軽微な犯罪で禁固刑を受けている1,000名の服役囚を釈放へという発表。延期可能な外科手術、歯科手術の延期を命令

ということで、このニュージャージー州としては、最初の感染が確認されてからわずか12日で外食一斉休業、学校の一斉休校、17日で外出禁止ということで、時の流れの速さに驚かされます。

全体的に一斉休業にしても、外出禁止にしても知事の政令という形を取っていますが、強制力を伴っており、特に許可外業種の営業や、事務所での業務については警察が出動して禁止するという運用になってます。

基本的にクルマ社会のニュージャージーでは、会社の駐車場にクルマが停まっていると、警察に踏み込まれて「解散」を命じられるという運用です。また、結婚式を強行したケースでも警察が解散を命じています。

その一方で、食料品スーパーなどは営業しており、行くのも構わないということになっているのですが、営業時間を限定しているので混雑が激しく、危険を避けるために入場規制があったりします。

営業時間が短いのは、人手の確保が難しい一方で、生活必需品の売れ方が速いので商品の補充に手間がかかるためのようです。ちなみに、生活必需品については、政府は「買いだめ」を推奨しています。というのは、仮に万が一検査で陽性になったら完全に外出禁止になるので、その場合に備えて14日間は「籠城」できるようにしなさいということです。

従って、消毒液や、トイレットペーパーは勿論、缶詰やパスタなど保存食から、精肉まで「まとまった」品物は品不足になっており、かなり広い範囲の商品が「お一人様2個限り」になっていたりします。

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