『半沢直樹』ロケ地で脚光、あの老舗居酒屋のコロナ生き残り戦略とは?

 

浅草に距離的に近いので、日本人や中国をはじめ海外のインバウンドによる団体ツアーの観光客も受け入れてきた。

つまり、同店はランチにバイキングを行っていて顧客が減少しているうえに、まぐろの解体ショーのようなイベントは自粛となり、インバウンドはもとより日本の団体客や宴会の客も来なくなっている。普段は集客に寄与している様々な賑わいを生む施策が、新型コロナの流行という緊急事態において、複合的にマイナスへと作用しているのが実情だ。

既に3月までで、宴会のキャンセルなどにより500万円以上の損失が出てしまっているという。

「新型コロナの影響が出始めたのは2月中旬くらいで、団体のランチがキャンセルになり、イベントの自粛要請で出張まぐろ解体ショーができなくなりました。貸し切りの宴会も次々とキャンセルになって、2月の下旬に一斉休校が決まり、一般のお客様も少なくなって半分以下に減ってしまいました」(経営するYTフーズ代表取締役 井上多恵子氏)。

ランチのバイキングは、新鮮なまぐろの刺身をはじめ、旬の魚の刺身、日替わりの煮物、ご飯、味噌汁、サラダ、生卵、フルーツポンチなど約20種類が提供され、50分で1,500円となっている。普段は朝10時から整理券を配布するほどの人気なのだが、一時期は空席が目立つほどにまで客数が減っていた。

やはり、新型コロナの感染リスクを恐れて、顧客が敬遠していると感じた同店では、先述した6つの改善を行い回復に努めた。

その結果、ランチには再び行列ができるようになったが、3月25日の記者会見で、小池百合子東京都知事が新型コロナの感染を防ぐ対策として、夜間や週末の不要不急の外出自粛、平日もなるべく自宅でのテレワークを推奨する要請がなされて以来、また集客が厳しくなっている。

しかし、取材に訪れた日には朝の10時から整理券を配布し、11時のオープン前には行列ができていた。12時を過ぎるランチの最盛期にはほぼ満席となった。

換気を良くするためにオープン前の準備時間から、出入口の扉を開けっ放しにし、店内には空気清浄機を要所に3台配置。店員はマスク、手袋を着用し、トングなどはこまめに交換。

出入口は開けっ放しにして換気に努めている

出入口は開けっ放しにして換気に努めている

顧客は入場した時に前払いで支払いをして、アルコール消毒液で手を消毒して、席に着く。退場した後には、店員が必ずテーブルと椅子をアルコール消毒、といった流れになっている。

お皿の取り口にアルコール消毒液が置かれている

お皿の取り口にアルコール消毒液が置かれている

ご飯コーナー。しゃもじの横にアルコール消毒液を置いて対策

ご飯コーナー。しゃもじの横にアルコール消毒液を置いて対策

また、通常のランチタイムでは顧客は4人掛けのテーブルで相席となるが、現在は1人分の席を空けて座るように変更されている。これならば密接感はなくなり、店内の密集感も抑制されている。但し、3人、4人の小グループで来店した場合は、同席ができるように配慮されている。

1つ席を開けて、顧客を座らせている

1つ席を開けて、顧客を座らせている

バイキングで料理を取る顧客。間隔を取るように各自が気をつけている

バイキングで料理を取る顧客。間隔を取るように各自が気をつけている

同店は、政府の外出自粛要請に伴い、顧客の安全面を考慮して、3月31日からランチ営業のみの営業に切り替えている。1日~3日は休業した。当面は、営業の短縮や休業も実施していくが、同店のホームページで告知する。

店舗営業が難しくなっているため、通販にも力を入れている。休校中のお母さんたちを応援するため、同店の人気メニュー「ガッツらーめん」と炒め野菜と合鴨肉をセットにした「ガッツらーめん肉野菜セット」を6食セット2,820円(税込、以下同)、9食セット4,140円で販売。送料は890円となっている。

1人前540円で食べられるお得な「たいこ茶屋特製お刺身セット」は、ミナミマグロ刺50gと炙りサーモン刺50gで、4人前2,160円、8人前4,320円、別途送料1,200円となっており、温かいご飯に乗せて海鮮丼にする食べ方を推奨している。

今後は、テイクアウトやデリバリーも考えていく方針で、コロナ禍を乗り切ろうとあらゆる手を尽くしていく。

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