「手作りマスク」が示したコロナ後の個人ビジネス時代の可能性

 

こうした暮らしを産業革命は破壊しました。地方に散らばっていた共同体を解体して、都市に人を集めました。そして、会社や工場に勤める生活を奨励しました。個人が作っていた商品を、何百人、何千人の人が大量に作るようになりました。

商社が、海外から原材料を大量に輸入し、倉庫に入れ、それを工場に売り、工場は生産計画を立て、製品に加工して、デリバリーする。その過程で多くの企業と多くの人々が関わります。昔は一人の人間が最初から最後まで行っていた仕事を分割し、大勢の人がその一部を担うようになりました。

次第に仕事の全体像が見えなくなり、生活のための仕事から、お金のための仕事に変わっていく。そして、仕事は個人で行うのではなく、組織で行うようになりました。その頃から、人間はストレスに悩むようになったと思います。個人が自分のペースで仕事をするのと、組織の中で命令された仕事を行うことは大違いです。

全体が見渡せる仕事は具体的なイメージを持つことができます。しかし、組織の一部だけの仕事は抽象的なイメージしか持つことができません。仕事に喜びを感じることはなくなり、単に生活を維持するためのお金を稼ぐ仕事になってしまいました。

仕事がつまらないから、休日には気晴らしが必要になります。職場と住宅が遠く、出勤時間が決められているから、満員電車に乗らなければなりません。住宅もお金で買い、食料もお金で買うので、お金のために稼がなければなりません。

世界中の人々が、そんな生活を続けた結果、地球環境は汚染され、貧富の格差が生まれました。一方で、大量の食品廃棄を生み出し、一方では食料不足で飢える人がいる。そんな世界になった原因は、自給自足を捨て、貨幣に依存した商品経済になったからとも言えるでしょう。

3.グローバル経済、中国依存への反省

貨幣経済が進化し、それがグローバルに拡大しました。世界で最も安く作れる地域で大量生産して、世界で最も高く買ってくれる市場で大量販売すれば、儲かります。但し、それを行うには、大量の物資を輸送しなければなりません。人間も世界中を飛び回ることになります。大量の燃料,つまり大量の石油が必要になりました。

昔は小さな村で完結していたことを、世界のスケールまで拡大しました。スケールを拡大すれば、それだけ利益も大きくなります。そんなグローバル経済の典型的な成功例が中国でした。

print
いま読まれてます

  • 「手作りマスク」が示したコロナ後の個人ビジネス時代の可能性
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け