元国税が暴露。電通「中抜き」問題と官僚天下り問題との深い関係

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20億円もの税金が「中抜き」された疑いのある、持続化給付金事業の委託問題。その説明の説得力のなさに納税者の怒りは高まるばかりですが、そもそもなぜ我が国では、このような杜撰な対応がまかり通るのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、もはや「国が主導しているとも言える腐敗の構造」を暴いています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2020年6月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

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持続化給付金は天下りの温床

前号(6月1日号「すべてはメンツと利権死守。アビガンを厚労省がすぐ承認できぬ闇」)では、「新型コロナ対策では、アビガンがなかなか承認されなかったり、世界で大活躍している日本企業製のPCR検査機器が日本国内では使用不可になっていたりなどの不可解な点が多々ある」「それは厚生労働省の官僚たちが自分たちの権威と利権を守るために、日本の優れた医療資源を承認しないのだ」ということを述べました。今回は、その官僚たちの天下り事情についてお話したいと思います。

昨今、持続化給付金の中抜き問題が大きくクローズアップされています。この問題も、実は官僚の天下りと大きく関係しています。なので、持続化給付金に絡めて官僚の天下り事情をご説明したいと思います。

持続化給付金というのは、新型コロナにより経営が悪化した中小企業に、悪化状況に応じて現金を給付するという事業です。中小法人で最高200万円、個人事業者で最高100万円が支給されます。経営悪化している事業者は多いので給付の総額は膨大になると見込まれ、事務委託費だけで769億円もの予算が組まれています。

この持続化給付金の事業が、「サービスデザイン推進協議会」という団体に769億円という巨額な費用で事務委託され、その委託費は20億円抜かれた後さらに電通などに再委託されていた、それが発覚し問題となったというわけです。

冒頭に述べましたように持続化給付金の委託においての「中抜き問題」も、官僚の天下りが大きく関係しているのです。持続化給付金の委託を受けた「サービスデザイン推進協議会」という団体は、実は天下りの巣窟なのです。

サービスデザイン推進協議会の理事の中には、天下り官僚はいません。さすがに、国から莫大な委託費を受け取っている団体に、天下り官僚などがいれば世間から叩かれるのはわかっているので、官僚たちはそんなヘマはしないのです。

が、サービスデザイン推進協議会に名を連ねている企業が、天下りの代表的な受け入れ先なのです。

サービスデザイン推進協議会は、電通、パソナ、トランスコスモスなどによってつくられた団体です。

電通は昨年も元総務省事務次官の桜井俊を取締役に受け入れるなど、官僚の天下り先として非常に有名な企業です。

またパソナという会社は人材派遣業であり、小泉内閣の経済政策を一手に引き受けていた竹中平蔵氏を会長に迎え、官僚の再就職業務(つまりは天下りのあっせん業務)なども行っていた「天下りの総本山」というような会社なのです。

サービスデザイン推進協議会の理事として名を連ねている「日本生産性本部」という公益法人も、天下りの総本部のような法人です。日本生産性本部とは、労働問題などを研究するシンクタンクですが、国から莫大な補助金をもらっています。そして、この日本生産性本部は、大量の天下り官僚を受け入れており、国会などで何度も批判を浴びて、その都度規模を縮小されるのですが、いつの間にか復活して肥大化するというゾンビのような集団なのです。

このように電通、パソナ、日本生産性本部は、日本の天下りを象徴するような存在なのです。彼らが中心になってつくられた「サービスデザイン推進協議会」が、どういうものなのか、赤ん坊でもわかるはずです。

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