世界はどこへ向かうのか?新型コロナウイルスの次のフェーズとは

 

●uttiiの眼

2面の世界地図の見方については、《朝日》の分析は不十分。確かに、累計の感染者数が目に見えて増大したのは中南米やインド、中東地域ということになるだろうし、「先進国」と「新興国・途上国」の分け方にも一定の有効性はある。だが、見過ごせないのは米国。感染者数は97万人から247万人と2.5倍以上に増え、最大の感染者と最大の死者を出しているのは他ならぬアメリカ合衆国だ。ロシアも感染者は8万人から62万人に増えていることを併せ考えれば、新しいフェーズの特徴として一番に挙げるべきは、南北アメリカとロシアでの感染拡大ではないのか。トランプのアメリカとボルソナロのブラジル、プーチンのロシアが制御不能に陥っているという面が重要なのであって。感染症に対する無理解を含む、思慮の足りない独裁的権力者が、このフェーズを生み出したとも言えるのではないだろうか。

対外支援の目的

【読売】は3面の社説で、途上国に対する援助を論じている。タイトルを以下に。

保健医療の強化に貢献したい

中南米やアフリカで新型コロナウイルス感染が拡大していることに対して、「国際社会が協力し、保健や医療の基盤が脆弱な国への支援を急ぎたい」というもの。

「途上国では大人数が狭い住居で暮らし、衛生環境が劣悪な地域が少なくない。外出を規制したものの、収束前に経済活動を再開した国もある。その日の生活を優先させざるを得ない状況が、感染拡大に拍車を掛けているのだろう」という。

既に政府は今年度の補正予算に840億円を計上し、約100カ国に対して救急車や画像診断装置などの供与を始めたという。

《読売》は、「米中両国の対立が深まる中で、日本は国際社会の協調を主導する役割が求められる」といい、途上国がワクチンを安価で入手できる仕組みをつくるべきだとして、既に途上国のワクチン接種を支援する国際機関「Gavi」に約3億ドルを拠出することを決めたと紹介。

●uttiiの眼

まあ、言われていることはもっともな話だが、途上国の場合は「大人数が狭い住居で暮らし、衛生環境が劣悪な地域が少なくない。外出を規制したものの、収束前に経済活動を再開した国もある。その日の生活を優先させざるを得ない状況が、感染拡大に拍車を掛けている」などと、「上から目線」で言われてみると、それらは何も途上国に限った話ではなく、むしろ今の日本の状況そのものではないかと、憎まれ口も叩きたくなる。どうも、この手の社説には「思慮深さ」が感じられない。

援助はとりあえず他国のために行うものだろうが、回り回って自国に返ってくるものでもある。感染症は、そのことが最も分かりやすい事例と言える。

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