ここにも新型コロナの影響か。急増する電気コンロが火元の火災

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「火を使わないため安全」という触れ込みで普及した電気コンロが原因となった火災が相次いで発生し、各メディアで報道されています。一体なぜそのような事態が起こるのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、IHクッキングヒーターとは異なる電気コンロの構造的な特徴が火災を招きやすくしていると指摘した上で、その防止策を考察しています。

火が出なくて安全のはずの電気コンロで火災が相次ぐ

こんにちは!廣田信子です。

新潟県湯沢町の高層マンションで、立て続けに3件、火災が発生している…との報道がありました。いずれも火元は電気コンロの可能性が高いといいます。

相次ぐ火災 旧式電気コンロ原因か 湯沢の高層マンション

マンションでの火災が続けて起こるのは例年にない傾向で、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛で、自宅で料理をする機会が増え、コンロから目を離すなどの「うっかり火災」が頻発しているのではないか…と消防署はみています。

湯沢町のリゾートマンションはバブル期前後に建てられた築30年以上の建物が大半で、過熱を感知するセンサーが付いていない旧式の電気コンロ備え付けの物件もある。過熱防止などのセンサーが付いていれば、防げた可能性がある…として、できれば、センサー付きに取り換えてほしい…と。

バブルのころ建設されたリゾートマンションやワンルームマンションでは、電気コンロが組み込まれたキッチンユニットが数多く使われました。ガスコンロと違って火が出ないので、火災の心配が少なく安全と言われていたと思います。

「電気コンロ」といってもピンとこない方もいるかもしれません。今は、電気を使う調理機器と言えば、IHクッキングヒーターですから。機器に触っても熱くないIHクッキングヒーターとは違って、電気コンロは、電熱器が高温になって、その熱で調理する方式なので、触れば熱いです。

電気コンロには、

  • ヒーターのコイルがむき出しになったタイプ
  • 上部にトッププレートを取り付けたタイプ

の2種類があります。トッププレートでおおわれているものは、電熱コイルが直接見えないので、調理モードになっていることに気が付きにくいということがあります。キッチンユニットに組み込まれているのは、ほとんどがこのタイプだと思います。火が出ないから、火災になりにくい…はずが、火が出ないから、高温になっていることに気が付きにくく、火災になりすい…という面もあるという皮肉です。

このタイプは都心部にも多数存在するはずなので、気になって調べると、電気コンロの火災は、東京では毎年数十件以上発生しているといいます。キッチンユニットの電気コンロのスイッチに気が付かないうちに触れ、スイッチが入ってしまい、それを知らずに外出し、時間が経過して出火する…というパターンが多いといいます。

ワンルームマンション等では、玄関出入り口脇に備えられていますから、出がけに、手に持ったバックがスイッチに触れてしまうということもあり得ます。キッチンユニットの周りには、雑多なものが置かれていることが多く、普段、料理をしないと、電気ヒーターの上に物を置いていることもあります。

電気コンロのスイッチを、うっかり触ってONにしてしまわないように、メーカーがスイッチを改修するよう啓発活動をしているようですが、賃貸物件であることが多く、なかなか進んでいないようです。

電気コンロメーカーおよびキッチンユニットメーカーが協力して、2007年に、「小形キッチンユニット用電気こんろ協議会」を設立して、啓発活動をしているということです(初めて知りましたが…)。

都市部には、電気コンロを組み込んだキッチンユニットが使用されているワンルームマンションが多数あります。賃借人の方が、これまでは、あまり使用しないで物置になっていたけど、コロナ禍での外出自粛、経済困難等で、慣れない電気コンロを使用する機会が増えるかもしれません。高経年のワンルームマンションのオーナーの方は、組み込まれている電気コンロの仕様を確認し、賃借人の方に、注意を促された方がいいと思いました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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