元国税が暴露。日本人の「生命保険は掛け捨てが得」という大誤解

 

「掛け捨て」と「貯蓄性アリ」とどっちが得か

掛け捨ての場合と貯蓄アリの保険の場合とを比較検討してみましょう。貯蓄性のある保険は、だいたい1万数千円します。もちろん高いものはもっとあります。一方、掛け捨ての保険は2千円くらいからあります。なので、掛け捨ての3千円の保険と、1万3千円の貯蓄性の保険(貯蓄部分1万円、保険部分3千円)とを比較してみましょう。

掛け捨て3千円の場合、年間の払い込み額は3万6千円になります。ということは、生命保険料控除は、所得税分が2万8千円、住民税分が2万3千円となります。この場合、平均的なサラリーマンならば、5千百円の節税となります。

貯蓄性の保険の場合、年間の払込額は15万6千円となるので、生命保険料控除は満額を受けられます。所得税分が4万円、住民税分が2万8千円です。この場合、平均的なサラリーマンならば、6千8百円の節税となります。その差は千7百円です。「千7百円なんて大した金額じゃない」と思う人もいるでしょう。

が、もし貯蓄性の保険1万3千円を解約して3千円の掛け捨て保険に入り、浮いた分の1万円を預金にしたとします。これで年間で12万円の預金ができますが、現在の低金利では数十円程度の利子しかつきません。

これは貯蓄性保険にした場合、生命保険料控除が、掛け捨て保険よりも千7百円高いので、これを利子と考えれば相当高いものです。月1万円、年間12万円を貯蓄して千7百円の利子をもらえると思ってください。実に1.7%です。昨今、定期預金でも1.7%の金利など到底つきません。このように、単純に比較しても「生命保険は掛け捨てが有利だとは到底言えないのです。

だから「生命保険の貯蓄部分に掛けるお金があるなら他に回した方がいい」というのは、明らかに間違いで「生命保険の貯蓄部分に掛けるお金があるなら掛けておいた方がいい」ということなのです。

image by: Shutterstock.com

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