マニア心をくすぐり儲ける「コンプリートビジネス」は許容範囲か

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マニア心を刺激して売上を伸ばす、いわゆる「コンプリートビジネス」。この販売戦略については、「煽り商法とどう違うのか」と言った批判も聞かれますが、マーケティングの専門家はどう見ているのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、「被害者」をキーワードにその是非を論じています。

趣味を楽しむ人がいるから、経済がまわる

「コンプリートビジネス」という分野が盛況です。

アイドルのグッズやキャラクターのフィギュアなど、好きな世界のものを集める、いわゆるコレクターをターゲットにした、商品販売戦略のことです。

コレクターは、突如出現したわけではなく、昔から存在していました。骨董品や映画ポスター、切手、コイン……。さまざまなコレクターがいます。ものが溢れる時代となって、興味の幅が広がり、コレクションが多彩になってきたのです。

お金を掛けずに、河原の石を集める人がいるかと思えば、財力にものを言わせ、世界の名車を集める人もいます。お金の有無に関わらず、人は集めることが好きな生き物のようです。特に男性には、この傾向があります。女性より男性の方が、ものに執着する性質が強いのでしょう。

「コンプリートビジネス」は、この性質を狙った、巧みな販売戦略です。集めたくなるような魅力を持った商品を一度に販売せず、次から次へと登場させるのです。すると、「次はどんなものだろう?」と、ワクワク感を持つのです。コレクターには、たまらない快感ではないでしょうか。集めている間は、しばらくこの快感が続くのですから、楽しくないわけがないのです。ひと通り出し終えても、カタチを変えれば、コレクターはまた手を出してしまうものです。すなわち、永遠に続けることも可能なビジネスなのです。

しかし、倫理的にどうなのだろうかと疑問を持つ人もいるでしょう。煽って買わせる、いわゆる「煽り商法」と同じではないのか、と。私は巧みな戦略と書いていますが、裏を返せば「汚い商売」と言えなくもありません。

ただ、煽り商法には法的な被害者がいる場合がありますが、コレクターはまったく自分の意志で買っています。被害者にはならないのです。お金を注ぎ込んで後悔する人もいるかもしれませんが、ほとんどの人が「満足感」を得ているのです。そこには、何の問題もありません。むしろ、楽しさを売っている商売ではないでしょうか。自分が好きで集めることを、他人が批判しても仕方がないのです。その楽しさは、本人にしかわからないものです。

不況でものを買わない時代。趣味の世界でどんどんお金を使うことは、いまの日本経済には必要なのです。

image by: jeagun lee / Shutterstock.com

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なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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