優雅で危険な「安倍のなつやすみ」臨時国会から逃げツケは国民に?

 

なぜコロナ対応の法改正できぬ? アベ友が苦しい言い訳

その意味から言うと、7月31日のTBS「ひるおび!」における、片山善博早大教授(元自治官僚、元鳥取県知事)の政府に対する怒りの声はうなずけるものであったが、これにジャーナリスト・田崎史郎氏や、タレント弁護士・八代英輝氏が日頃の与党的な視点を堅持して激しく反論した。しばし、この一幕を振り返ってみよう。

それは、片山氏が「特別措置法はちょっと粗いところがあり、改正しなきゃいけないのに、国会を開かないための理屈ばかりこねている」と発言したのをきっかけにはじまった。

八代氏がこう反応した。「国会の本会議を開くと1日に3億円ずつかかる。その資金を別の用途にまわしたほうがいい。特措法の改正をするとしたら、まず法案をつくって、法制局にかけて、委員会にかけて本会議ですよね。いま本会議だけ開いても何もやることがないんですよ」

すかさず片山氏がつぶやいた。「やりたくない人はみなそう言うんですよ」。

「別に僕、国会議員じゃないんで」とわめく八代氏を横目に片山氏は続ける。

「私はかつて霞が関で法律の改正を何回もやってきましたけども、この種の法律改正はあっという間にできます。やりたくないときに、時間かかる、法制局がどうしたこうしたと言うんです。そんなことウソです。信じちゃいけません」

ここで、やおら田崎氏が口を開き、「僕は片山さん、自治大臣の秘書官から存じ上げていますが、優秀な自治省の官僚であった」ときた。なにやら不穏な空気である。

「でも、その当時とは今は若干違っていて、特措法の改正という場合、論点がいくつもあるんです。多省庁にわたる。もう改正作業は始まってるんですよ。でも、かなり時間がかかる」「法案をつくった後に国会に提出して審議していただくわけですね。いま国会開いても審議する法案がありませんよ

実務を知らない田崎氏が、実務を熟知する片山氏にお説教する。知らないから、「違う」とは言わず、「今は違う」と言って、条件付き否定するほか手がないのだ。

片山氏は笑う。「こんなのね、すぐできますよ。そんな大それた改正要らないんですよ。やる気がないからですよ、この期に及んでも時間がかかるのは。秋になって国会開いたとしても、これどうなりますか。それまで国会議員の皆さん、みんなステイホーム、ボーナスもらって、長期有給休暇ですよ

田崎氏「国会はいま週に一回やっている」

八代氏「片山さんのようにすぐできると言えば気持ちいいですよ。でも実際はそんな簡単なもんじゃないと思いますよ僕は」

片山氏「簡単です」

田崎氏「いや簡単じゃないと思いますよ」

今あえて「臨時国会を開かない」理由はどこにもない

子供の喧嘩みたいだが、冷笑する片山氏に他の二人が意地になって食ってかかるのが面白い。彼ら二人が臨時国会開催など無意味だと考える理由は、「法案がないから」。自民党の言い分と寸分違わない。

法案づくりが田崎氏の言うように難しいのなら、国会で与野党をこえて必要な修正点をまとめればいいではないか。しかも、先述したように、国会で審議すべきは、何も特措法改正だけではない。外交、防衛、環境、エネルギーなど多方面にわたって議論を要する課題が出てきている。コロナ対策だけでも、特措法のみならず、論点は山ほどあるはずだ。

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