優雅で危険な「安倍のなつやすみ」臨時国会から逃げツケは国民に?
過去にもあった国会拒否。安倍首相の夏休みは永遠に続く
安倍首相は、過去2回、野党の憲法53条にもとづく臨時国会開催要求を拒否した前歴がある。
2015年が1回目。閣僚のスキャンダルや日歯連の政治献金問題などで追及されるのを嫌がって、野党の臨時国会召集要求を蹴り、結局この年は通常国会しか開かれなかった。
2回目は2017年。森友学園・加計学園問題を追及するため、野党が6月に臨時国会開会を要求し、3か月以上を経た9月28日にようやく召集したかと思うと、その日のうちに解散した。国会論議は行われずじまいで、安倍自民党は10月の総選挙で大勝した。形式上は開会されたことになるが、これでは臨時国会開催要求に応じたとはいえないだろう。
安倍首相が早期の臨時国会を避ける背景として、取りざたされるのが、解散・総選挙をにらんだ動きだ。麻生財務相があからさまに「解散」をちらつかせているほか、安倍首相をめぐる風景も2017年と似通ってきた。
今年6月19日、安倍首相、麻生財務相、菅官房長官、甘利明氏らは都内で会食した。彼らは2017年の7月にも、夕食をともにしている。
すわ解散総選挙か、とマスコミが色めき立ったのも無理はない。麻生財務相は6月だけで8回も安倍首相に会って、なにごとか密談したといい、公明党の斉藤幹事長に「衆院解散は今秋が望ましい」と伝えたとされる。
安倍総裁の任期は来年9月いっぱい。来年は東京五輪や東京都議選が予定され、解散できるタイミングはほとんどないので、今秋に、ということだろうか。かつて首相をつとめた麻生氏には、任期切れが迫るまで解散できなかったため民主党に歴史的敗北を喫した苦い経験がある。
「コロナ重症者続出の冬は選挙に勝てぬ」から秋に解散?
7月になって新型コロナウイルスが再び猛威をふるいはじめたため、解散への動きも影をひそめつつあるように見える。ふつうなら解散など、とんでもない状況ではあるのだが、安倍政権に常識は通用しない。冬場には重症者が増えると見込めば、まだ重症者が少ないうちの解散チャンスを狙うだろう。焚きつけ役の麻生氏もあきらめてはいまい。
それこそ2017年のような、解散のための臨時国会召集ということも、求心力維持こそ最優先事項の安倍首相なら、やりかねない。議席がかなり減るのは覚悟のうえ、情勢調査で安定多数を確保できると見込めば、国民生活などそっちのけで、解散に踏み切れる首相なのだ。
ただし、相変わらず、安倍首相の健康不安説も飛び交っている。それなら、解散する元気もなければ、国会を開いて答弁に立つエネルギーもないかもしれず、解散以前に進退問題となってしまう。
さしあたり、安倍首相が野党の臨時国会召集要求を拒み続けるか、どこかで折り合うかが、今後の政局を占うカギといえるだろう。
image by : 首相官邸
八代英輝安倍首相新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』片山善博田崎史郎臨時国会
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