2017年5月26日付
加計学園問題で、前川喜平前文部次官の証人喚問の是非が議論され、その過程で、杉田氏の名が出てくる。菅官房長官(当時)は「前川氏が認めた「出会い系バー」への出入りについては、杉田和博官房副長官が以前、前川氏に確認した上、注意したと明らかにした。菅氏はこれまで、前川氏の在職中には事実関係を把握していなかったと説明していた」
*少なくとも前川氏について、おそらくは公安警察が行動を把握し、情報として官房副長官である杉田氏に上がっていたのだろう。杉田氏の権力はさらに集積されていく。
2017年8月4日付
「政府は三日、府省の幹部人事を一元管理する内閣人事局の局長に、杉田和博官房副長官を充てる人事を発表」。政務担当官房副長官の萩生田氏に代わっての就任。
*森友問題でも官邸を代表して対処している杉田氏。
2018年3月15日付
「森友学園文書改ざんに関し、国交省の保管文書と、財務省が国会議員に開示した文書に相違があることを5日の時点で首相官邸へ報告していたと明らかにした。財務省はこの後も国会質疑などで「調査中」として改ざんの有無を明言せず、官邸側は国交省からの報告を公表していなかった」という。この「官邸側」は杉田氏のこと。
*西日本豪雨に際しても、省庁横断チームのトップは杉田氏。
●uttiiの眼
政権にとってその帰趨が大きな意味を持ってくるような重要課題は、当然だが調整が簡単ではない。そうしたテーマの悉くについて、杉田氏のコントロールのもとで政府内の調整が図られることになっていた。また、森友、加計問題のように、政権が政治的な窮地に陥ったような場合にも、杉田氏が対応を主導してきたようだ。
安倍氏や菅氏と背中合わせになったような存在であり、調整を通して権力を集積していったようにも見える。前川氏の「出会い系バー」通いの一件は典型的で、官僚の弱みとなり得そうな情報は、おそらくは古巣の内調や警視庁公安部の働きによって杉田氏が自由に使える武器になっているのだろう。皆、杉田氏に逆らえなくなってしまう。首相補佐官の今井尚哉氏を「陰の総理」と呼ぶ向きがあるが、杉田氏こそ、その名に相応しいかもしれない。
これだけ見てくると、杉田氏が日本学術会議の会員任命に当たって、事実上権力を行使し、警察情報などに基づいて6人の任命拒否をさせたとしても、何の不思議もない。国会に喚問して徹底追及すべきだろう。
【あとがき】
以上、いかがでしたでしょうか。5年遡っただけで、杉田氏の権力者としての姿がクッキリと浮かんできたように思います。「安倍1強」も問題でしたが、事務方トップの元警察官僚が各省庁の幹部人事から諸問題の調整まですべて掌握しているというのは大問題ではないでしょうか。
image by: Yuukokusya / CC BY-SA, 内閣官房内閣広報室 / CC BY