経営サイドや、幹部クラスの社員は、年収の上げ幅なんて、その人の成果に比べたら微々たるモノだということが、分かっているわけです。一部の社員では、200万や300万増やしても、2億3億の利益を出すような貢献をしていたりするんですから。そんな社員をライバル企業に引き抜かれるくらいなら、自分のところで昇格、昇給させてモチベーションを高めた方がトクだよねと分かっているわけです。
それを阻んでいたのが年功序列と終身雇用だったんですね。年功序列という秩序の中では、実績で評価するのではなく、年齢や入社年次での評価が求められ、その枠を飛び越えた処遇は、秩序を壊す、組織の和を乱すということで嫌われたわけです。終身雇用については、一度くらい目立った成果を出したからといって、そこで過剰な処遇をすると、定年までその十字架を会社が背負わなきゃならないわけですよ。終身雇用の世界では、一度上がった給料は、簡単に下げられませんから。
今の日本で、Windows2000と呼ばれる人たちがいまして、彼らはロクな仕事が無いのに、年収2,000万とかをもらっているバブル世代のおじさんのことでして、これは一度上がった給料は簡単に下げられないことの悪しき例なんですね。だから日本では、毎年少しずつ(ちょびっとずつ)しか昇給させないということが続いていたわけです。
この慣例が、グローバル化によってドンドン壊れつつあるんです。そもそも優秀な人は何もガマンして日本で働く必要すらないんですから。アメリカや中国、韓国などでは優秀で実績がある人には、フツーに3,000万とかのオファーを出しているんですね。同じ仕事をしているのに、日本の数倍の年収をもらえたら、そりゃそっちを選ぶ人がいてもおかしくありません。日本国内では労働関係の法律で解雇が難しいわけですが、海外なら日本のそんな法律は関係ありませんから。
そうやって海外に移住する人がここ数年で増えているんです。それが日本の岩盤のような規制をブチ壊しつつあるんです。これからはこの流れが加速するはずで、その時に英語で仕事ができるかどうかというのは、格差の上位に行けるか、下に落ちるかの最初の篩いになると思うんですよね。
image by: Shutterstock.com