ネット動画での「ガースー発言」や「8人ステーキ忘年会」、さらにGo Toキャンペーンの失敗など、連日のように批判の槍玉にあげられている菅総理。支持率も低下の一途をたどっていますが、東京五輪が翌年に控える今このピンチを切り抜けることはできるのでしょうか? 経営者やトップアスリートにスピーチトレーニングをおこなっている「スピーチのプロ」森裕喜子さんは、自身のメルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の中で、菅総理のスピーチを改善することでピンチをチャンスに変える可能性があると指摘。菅総理が支持率を上げてリーダーシップを発揮するために必要なスピーチ改善点とは?
菅総理の発信力復活シナリオとは? ピンチをチャンスに変えるストーリー
菅総理の発信力低下がメディアで取り沙汰されています。メディアは情報を編集して届けますから、実際のところどうなのか?
我々国民は本当のところ、身近で見聞きしたらどうなのか、という実態は知ることができません。
国のトップと国民の間に、伝わらない壁があるように感じます。
聞くところによると、菅総理はとてもせっかちな性格でいらっしゃるのだそうです。
朝、総理と顔を合わせると「あの件はどうなってる?」と聞かれ、夕方にもまた顔を合わせてしまうと必ず「どうなった?」と問われる。
様々な課題に対して対策を打とうとし、それぞれの役割に任せて国を運営していく。
これは会社経営と違わないと思います。
ご自身の会社の社長がどういう風に普段行動し、何を考えているか、というのは、社員はなかなかわからないですよね。
私も会社員のとき、そう感じていました。だからこそ「社長、何を考えてるのかな」知りたいと思っていました。
会社ひとつとってもこうなのです。国という大きな組織を率いていき、その言動をきっちりと一人一人に伝えていくことがどれほどのことか。
ましてや今は危機下です。なおさらトップの発信力が求められる。
メディアは当然編集をして情報を届けるのですが、菅総理の「伝え方」は、メディアを通すとより一層伝わりにくい性質があるようです。
目線も落ちてしまいがちで、言葉もはっきりくっきり出さない。
スピーチのデリバリー(伝え方)としては、残念ながら良い例とは言えません。
でも、それを個性とするならばそれなりの対策を打ち、個性を活かすことができるはずです。ニコニコ動画で「ガースーです」などとおっしゃらなくともいい方法が。
例えば、落ちてしまいがちな目線。これは「いつどこを見るべきか」目線とタイミングを決めておけば解決です。
- 原稿を確認しながら話すなら、まず、口をよく動かすようにする。
- 一文を言い終わったら、文末で一旦目線を上げて聞き手(カメラ)を見る。
- 目線を上げたら、ほんのしばし黙り、目線を聞き手(カメラ)に送り続ける。
- そののち、原稿に再び戻り、次の内容を話す。
これは、皇室の方がよくやっていらっしゃいますね。言葉を間違えることなく、けれども、原稿丸読みにならない方法です。
上記を行う際、声は大きめに出すことが必要です。
原稿に向かって声を出そうとすると、声は原稿に向けて発していることになります。声は下に落ちる。すると、一層声量は小さくなってしまう。
ですから、原稿を見て話す際は、原稿の向こう側に届ける声を出す。また、口の動きで言葉を見せるのだ、と意識するのも、はっきりした言葉を出すためには有効です。
口を動かすようにすると、自ずと頬の筋肉を動かすようになります。すると、笑顔にもなりやすくなりますね。こうなれば一石二鳥。
慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、本番が多い総理ですから、一旦慣れればすぐに自分のものにできるでしょう。
菅総理、これからどんなふうに発信をしていかれるのか?ぜひ、国民に直接メッセージをお出しいただきたいと思います。
カメラ目線で、直接国民に語りかけてください。プロンプターがお好きでないなら、原稿ありでも良いのです。
危機下でのリーダーシップに期待しない国民はいないはずです。
【関連】 石破は堂々、菅チラ見、岸田ゆらゆら。総裁選「演説」をプロが辛口分析
【関連】トランプvsバイデンのTV討論会は「非言語の闘い」プロが徹底分析
(メルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』をいま登録しますと、12月中のお試し購読スタートで、12月分の全コンテンツを無料(0円)でお読みいただけます)
- 菅総理の発信力復活シナリオとは?ピンチをチャンスに変えるストーリー(12/22)
- メルケル首相、国を超えて伝わってくるメッセージ力(12/14)
- リーダーのメッセージとただの話は紙一重〜菅総理1204会見応援考察【リーダーシップを磨く言葉の教室】年末特別ゲリラ号外2(12/5)
<初月無料購読ですぐ読める! 配信済みバックナンバー>
- 時を得てメッセージの矢を放て【リーダーシップを磨く言葉の教室】年末特別ゲリラ号外1(11/30)
- リーダーは目線と語尾に気をつけよ「思います」と言って良いとき悪いとき:菅総理会見分析【リーダーシップを磨く言葉の教室】(11/22)
- 不安と緊張こそエンジン!今夜は19:30からトークライブの日【リーダーシップを磨く言葉の教室】号外(11/19)
- Build Back Better から始まる未来:2020米大統領選バイデン氏勝利スピーチ考察【リーダーシップを磨く言葉の教室】号外(11/8)
- メッセージは国民にどう届く〜バイデンVSトランプ伝え方比較:米大統領選最終討論会【リーダーシップを磨く言葉の教室】号外(10/26)
- まぐまぐ!ライブ2回目 ご視聴の御礼【リーダーシップを磨く言葉の教室】号外mini20201025(10/25)
- ピンチをチャンスに変えて生き抜く「自分軸」を持て【リーダーシップを磨く言葉の教室】3号(10/22)
- 大統領選は非言語メッセージの闘いvol.2 ペンスVSハリス副大統領討論会【リーダーシップを磨く言葉の教室】号外(10/9)
- 大統領選討論会は非言語メッセージの闘い〜トランプVSバイデン話し方比較【リーダーシップを磨く言葉の教室】号外(9/30)
- 初のまぐまぐ!ライブ、ご視聴ありがとうございました【リーダーシップを磨く言葉の教室】号外mini20200927(9/27)
- 拝啓 菅総理:スピーチ分析と活用法【リーダーシップを磨く言葉の教室】2号(9/22)
- 自民総裁選討論会「石破氏菅氏岸田氏はどう話したか?」話し方考察レビュー(9/12)
- 自民党総裁立候補演説 当日レビュー/「リーダーシップを磨く言葉の教室」号外20200908(9/8)
- 今日からできるメッセージ力の高め方とは?/「リーダーシップを磨く言葉の教室」創刊号(8/22)
・『あの人の声を分析』
・『パッションの磨き方』
image by: 首相官邸