「4月に頓死」説浮上。菅政権のコロナ対策を失敗へと導いた4つの大間違い

 

そもそもからのボタンの掛け違え

こんなことになってしまう根本原因は、昨年1月の安倍晋三政権下でのコロナ対策が初めからボタンを掛け違え、間違った基礎の上に築かれてきたことによる。

第1に、日本の対応の初歩的なお粗末ぶりは、ダイヤモンド・プリンセス号への対処の時から始まったことで、それを厳しく批判した岩田健太郎=神戸大学医学部医師によれば「レッドゾーンとグリーンゾーンと言って、ウイルスがまったくない安全なゾーンと、ウイルスがいるかもしれない危ないゾーンをキチッと分けて、レッドゾーンではPPEという防護服をつけ、グリーンゾーンでは何もしなくていい。こういう風にキチッと区別することによって、ウイルスから身を守るのが我々の世界の鉄則。ところが、ダイヤモンド・プリンセスの中はグリーンもレッドもぐちゃぐちゃで、どこが危なくてどこが危なくないのか、もう、どこの手すり、どこのじゅうたん、どこにウイルスがいるのか、さっぱりわからない」という状態にあった(INSIDER No.1035 20/02/24)。

第2に、これがさらにまずかったのは、無症状感染者も感染を広げてしまうという新型コロナウイルスの最大特徴を無視したことにある。上昌弘=NPO医療ガバナンス研究所理事長によれば「2020年1月24日の英医学誌『ランセット』で香港大学の研究者たちが報告し世界中が注目したのだが、日本ではこの情報を見落としていた」のだという(INSIDER No.1076 20/12/07)。信じられないような話だが、結局、日本の対策はすべて、この誤った認識の上に、クラスター追跡を最重視してそこに保健所などの人員・資源を集中し、従ってPCR検査もそれ以上に広げないことを旨として進められてきた。それが破綻を招いている。

第3に、にもかかわらず菅政権がそれを抜本的に方向転換できないのは、安倍政権以来のその大間違いを犯してきた責任が、安倍~今井直哉補佐官だけでなく、それを実務面で支え実行した菅官房長官~和泉洋人補佐官~(不倫相手の)大坪寛子=厚労省官房審議官のラインにもあって、菅はそれをそのまま引き継いでいるからである。大坪は、ダイヤモンド・プリンセス号の時に真っ先に乗り込んで陣頭指揮をとった現場責任者で、岩田医師の告発の直接対象であるけれども、今なお和泉補佐官とベタベタの関係で官邸に頻繁に出入りしている。週刊誌でこれほどあからさまに薄汚い関係が暴かれたカップルが依然としてコロナ対策の実権中枢にあり、それを首相がどうすることも出来ずに頼っているということが政権を覆う「気の緩み」の象徴である。

第4に、以上に加えて、菅が二階俊博幹事長に頭が上がらず、GoToトラベル、国土強靭化など二階好みの景気振興策を優先せざるを得ないという政権内の決定的な力関係がある。コロナ対策と経済対策の両輪というのはほとんど冗談で、コロナはイノチの問題で経済はカネの問題。イノチがなければカネを溜めても意味はないのだから、何より肝心なのはイノチを守ることである。ところが菅は、このイノチとカネを「両立」させるとか言って結果的にカネ優先に走っている。そうならざるを得ないのは、政権プロモーターの二階俊博幹事長が旅行業協会会長であるからである。

このような政策ベースを根本的に転換するのでなければ、緊急事態宣言を何度延長しても、事態は改善しない。

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