ミャンマー制裁に乗り出せぬ日本特有の事情
そのような中、日本はどのような貢献ができるでしょうか?
これまでのところ、メディアがこぞって取り上げるように、具体的な対応はとっていないように思われます。外資企業が連名で非難と懸念表明を行った際にも、日本企業は皆無でしたし、外交的にも、人権的な懸念を表明するものの、対ミャンマー制裁には乗り出していません。
その理由には、日本特有の事情があるのかもしれません。第2次世界大戦中、日本軍はアジアで表現できないほどの蛮行を働いてきました。日本からの支援を期待して、ごく一部のアジア諸国を除き、積極的に、そして具体的に日本批判は行っていませんが、根底には「日本政府よ。お前に人権問題であれこれ言われたくはない」との思いが渦巻いているようです。
そのプレッシャーが日本サイドにも伝わり、明確かつ一貫した外交姿勢をとることが出来ずにいます。
ここには【価値観に関しては表明は明確に、しかし、実際の行動は控えめにあるべき】という基本的な人権外交方針が存在します。ゆえに、サイドをとりたがらない対策を好むのかもしれません。
私も再三、期待を込めてフラストレーションを表明していますが、米中両国およびアジア諸国への配慮とうしろめたさゆえに、
明確な行動をとることが出来ないという、日本の傾向はしっかりと理解・認識しておく必要があるかと考えます。
さて、クーデター発生からすでに2か月が過ぎました。
事態は悪化し、多くの避難民が周辺国に逃れることで、隣国とのハレーションを起こし始めています。そして、内戦の危機が懸念される中、周辺国との衝突の可能性も日々大きくなってきているように思われます。
下手をすれば、米中が台湾などをめぐって直接対決に至る前に、ミャンマー関連の武力衝突が、アジア太平洋地域を舞台にした様々な対立と紛争のトリガーになってしまいかねません。
紛争の平和的解決に従事する者としては、大きな戦争を誘発しそうな事態は、一刻も早く止めたいところですが、ここにもCOVID-19の見えない壁が立ちはだかり、調停努力を困難にしています。
ミャンマー問題を起点として、アジア太平洋地域の安定が損なわれることが起きてしまったら、その影響は確実に日本にネガティブな形で波及してきますが、皆さんならどのように対応されますか?
ぜひお考えをお聞かせください。
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