ワクチン接種もPCR検査も後進国の日本。政府の無策に気づかぬ国民

kawai20210421
 

ワクチン接種は言うに及ばず、未だPCR検査の実施率も先進国中最下位レベルの日本。このような状況で、全国の大都市で猛威を振るいだした変異株を抑え込むことなど可能なのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、自身が実際にPCR検査を受けてみて判った、我が国の検査体制の脆弱性を指摘。さらに日本と先進各国の検査やワクチン接種の実情を比較した上で、安倍・菅両政権の新型コロナに対するあまりの「無策さ」を批判しています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

「無策」に気づかない深刻さ

東京都港区内のPCR検査センターや診療所で、昨年12月から今年3月までに、計6件の不適切な対応があったことがわかりました。

PCR検査センターで「陽性」になったにも関わらず、提携の医療機関への紹介が徹底されていなかったり、ある診療所では医師の不在時に陰性証明を出していたり。登録されていない医師の写真を広告に掲載してPCR検査を行った診療所や、未承認の抗原検査のキットを販売していた事業者などもあったそうです。

前回(Vol.221)の『近況』で「PCR検査を受けたところ33,000円もして、『翌朝の午前中に結果をメールで知らせる』としていたのにこなかった」と書きましたが、実際、PCR検査を受ける事態を経験してみると、いかに日本の検査体制が整っていないかが、よくわかります。

そもそもたとえ無症状でも、家族や知人が高熱になれば「もしや?コロナ?」と心配になる。検査をしたいと思っても、医師に診察をしてもらい「コロナの可能性がある」と診断された場合にしかPCR検査はしてもらえないのです。

たとえ無症状でも「感染のリスク」があれば、いつでもどこでも検査できる体制を整えるべきです。ましてや、「無症状の人から感染が拡大している」「発症2日前から人へ感染させる」ことがわかっているのに、なぜ、検査を拡充しないのか?

Vol.218の裏返しメガネ「『根拠なき楽観』という無策」で、米国の大学で広がる「サーベイランス検査」を紹介しました。「オリンピック開催国」という自覚があるなら、サーベイランス検査など、世界がどのようにして、「無症状の感染者を早期に隔離」して感染を防ぐ努力をしているのかを調べ、まねればいいだけのこと。

その「まねること」さえできないというか、やろうともしないのが今の日本です。

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