日本で言えば「マツキヨで接種」の驚愕。米国のケタ違いワクチン戦略

 

私も対象年齢がさらに広がった3月末に近所のドラッグストアで接種しましたが、お店からトイレに行く通路に、椅子と衝立をおいただけの、とても簡易な場所で、薬剤師から筋肉注射をされました(米国では、薬剤師もトレーニングを受ければ注射をしてよいことになっています→参照)。

必要な情報は、既に予約の段階でウェブサイトからすべて入力していたので、会場についてからは、身分証明書の確認だけで、問診もなく、あっといういまに終わってしまいました。正味3分もかかりませんでした。つまり、薬剤師一人あたり、1時間20人、8時間働けば160人に注射を打つことが出来ます。

ドラッグストアは、ワクチン接種そのものでは大して儲けることは出来ませんが、接種に来た人がついでに買い物をしてくれれば良いという判断です。私が行ったドラッグストアでも、接種後に5ドル分のクーポンをくれましたが、そこにドラッグストアなりの計算が働いていることが良く見えます。

ドラッグストアは、米国中に何千店舗もあるので、そこが機動力を発揮して、一気にワクチン接種を行なったのです。ドラッグストアだけでなく、AmazonやMicrosoftが、特設会場を設置して大量接種を行うなど、とにかく民間の力の活用方法が上手でした。

なので、日本のように役所に電話や人が殺到するようなことは一切ありませんでした。州や市町村の役人が行なったことは、連邦政府から配布されたワクチンを、民間に再分配することだけです。

下のグラフはCDCが公開している、1日ごとの接種数です。接種が始まった12月14日から、直線的に接種数を増やし、ピークの4月1日には、1日ごとに427万接種という規模で行われました。

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ちなみに、予約サイトは、ドラッグストアのチェーンごとに別々のものが作られていましたが、どこも良く出来ていました。医療関係者のみにホスピタルから配布されていた段階で、開発を進めていたのでしょう。

ちなみに、ワシントン州のサイトに行くと、近所の接種会場とそれぞれの予約状況を教えてくれます。

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多分、当初からサイト間の連携の必要性を感じ、サーバー間のインターフェイスだけは定めた上で、並行して開発を進めたように見えます。

ちなみに、現時点では年齢制限も外れ、大人の60%近くがワクチンを少なくとも1回は接種した、という状況にあります。今週からは、子供たちへの接種も始まるので、人々の間には、既に「危機を脱した」という感覚があふれています。

下のグラフは、CDCが公開している米国のワクチンの接種状況です。

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日本ほどでもありませんが、米国にもワクチンを嫌がる人たちは少なからずいるので、トータルで80%程度で頭打ちになるだろうと私は見ています。

たとえ80%の接種率でも、接種していない人が分散していれば、十分な集団免疫が得られますが、実際はそうは行かないのが問題です。

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