日本の子ども虐待の闇。国連「子どもの権利委員会」から再三の勧告

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5月17日、国連の「子どもの権利委員会」の委員長に日本人で初めて大谷美紀子さんが選出され、新聞各紙が報じています。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんは「子どもの権利委員会」に関する記事を5年遡って検索。国連だけでなく、自治体から市民団体まで多くの組織が国内にあり、貧困、性的虐待から気候危機まで、子どもの権利保護の問題は広範囲にわたることを確認。その中で子どもの権利が尊重されず、当の国連「子どもの権利委員会」から再三勧告される日本の実態を伝えています。

「子どもの権利委員会」について新聞はどう報じてきたか?

きょうは《東京》から。国連子ども権利委員会の委員長に初の日本人が就任したとの囲み記事がありました。法律家の大谷美紀子さん。そこで、「子どもの権利委員会」につい検索すると、5年以内の記事で40件にヒット。だし、この「子どもの権利委員会」には、国連のものだけでなく、日弁連や地方自治体、市民団体が設置したものもあります。ヤングケアラーについてもこのタイミングで政府の報告書が出てもいますので、きょうはこの問題を取り上げます。まずは《東京》3面の記事、見出しから。

国連子ども権利委員長に大谷氏
日本人で初

「子どもの権利条約」に基づき、子どもの権利が確保されているかどうかを監視する務めを負う国連の子ども権利委員会は、大谷美紀子氏を委員長に選出。委員長は各国の18人の委員をまとめ、外部対応も行う存在で、任期は2年。共同通信の取材に対して大谷氏は、コロナ禍のため、「子どもの問題がより後回しになっている。状況改善を訴えたい」と語ったという。

●uttiiの眼

「子どもの権利」を論じる最も大きな枠組みが、「国連」であり「子どもの権利条約」であり、そして組織的保証としての「子どもの権利委員会」なのだと思う。そのレベルから、実際に家族のケアに時間と体力を奪われ、学校にも行けなくなってしまった子どもたちをどうやって支えたら良いのかというレベルまで、実に多層的に問題が重なり合っている。

地域社会の中に、そうした子どもたちを包摂して支えていけるだけの力が残っているかどうか、といった視点も必要になってくるのではないだろうか。

【サーチ&リサーチ】

*この間、教育関係者で作る市民団体の「群馬子どもの権利委員会」が活発な活動を見せていて、特に「子どもの貧困」に焦点を合わせた活動を展開。また川崎市の子どもの権利委員会も提言をまとめるなどの活動。

2016年6月2日付
「(群馬)県内で子どもの貧困対策に取り組んでいる団体の交流会「子どもを誰ひとり見捨てない。今、私たちにできること」が、前橋市の県生涯学習センターで開かれた」との記事を皮切りに、数件の記事が取り上げられている。

*日弁連にも「子どもの権利委員会」がある。都道府県レベルの弁護士会が「子どもの権利委員会」を作っているケースもあるようだ。少なくとも東京、千葉、神奈川、群馬など。

2017年1月8日付
タイトル「少年法 18歳未満へ来月にも諮問 年齢引き下げ「誘導」 日弁連など批判 再犯増加のおそれ」の記事中、「日弁連子どもの権利委員会」の斎藤義房弁護士の以下の指摘。
「20代前半の若者については刑務所でも立ち直り支援できるよう改善すべきだが、社会の安全を守るには予防のために自由を制限してもいいという戦前のような考え方に陥らないようにしなければならない。また、裁判所が有罪認定してもいないのに検察官が容疑者の処遇に関与しようとするなど、問題点が多い」と。

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