【神秘と論理のダンス】
量子力学は、分子や原子、電子などのミクロな世界で生じる現象を説明する物理学です。
分子や原子でも充分に小さいのですが、原子をさらに分解すると、電子や陽子、中性子に分けることができ、陽子と中性子はさらにクォークという最小単位の粒子からできています。クォークや電子、光子などの最小単位の粒子のことを「素粒子」と呼んでいます。
こうした極微の世界では、物質の振る舞い方が、私たちの日常世界とはかなり違っています。日常世界での常識が、ミクロの世界では通用しません。
たとえば、個々の電子は「スピン」と呼ばれる状態を持っているのですが、スピンには「上向き」と「下向き」の二つの状態があり、しかも、1つの電子がこれら2つの状態を「同時に」持つことができるのです。
こうした現象を量子力学における「重ね合わせ」と呼ぶのですが、どう呼ぼうと非常識この上ありませんね。
2つの異なる状態が、同時に重ね合わされているというわけです。
そして、電子のスピンが「上向き」か「下向き」かは実際に「観測」するまでどちらか分からないままなのですが、これを私たちが観測することによって、どちらか1つの状態に「確定」するのです。
スピンの2つの状態が「観測」によりどちらか1つに確定されるので、この変化を「状態の収縮」とよびます。
こうした現象は、ペアを組んだ2つの粒子の間でも起こるのです。
粒子Aと粒子Bのスピンの状態が「Aが上向き・Bが下向き」と「Aが下向き・Bが上向き」の重ね合わせ状態にある場合、粒子Aを観測して、Aが下向きであることが確定されたら、Bは観測するまでもなく上向きに確定されるのです。
この変化は、「同時」に、そして、粒子のAとBがどんなに離れれていても生じます。
量子力学では、このような2つの粒子の関係を「量子もつれ」の状態にあると言うのです。しかも、こうした一連の変化は「非局所性」であり、限られた空間(局所)でのみ起ることではないのです。
何とも、日常空間の常識には合わない話ですが、このような量子の振る舞いが存在することは、空間を超越して「同時に」ESP現象が生じることに物理学的な説明の可能性を与えてくれます。
私たちの脳神経系で行われている情報処理が、具体的にどのようにして量子における「状態の収縮」に関わっているかは、次の課題です。
このように、神秘と論理のダンスは、エンドレスに続きます。
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