ユニクロ柳井社長が、過去に大損害を出した当事者をGU社長にした訳

 

ここまで話をすすめてきて、では本部の意思決定の役割はどうあるべきなのか、どう理解してもらえるのかで混乱していたところ、なるほどと思えるあるテレビ番組『ガイアの夜明け』に出会いました。

『ガイアの夜明け』でユニクロ(ファーストリテイリング)の子会社でファッション性重視のブランド「GU」が紹介されていたのですが、ここで大いに興味を感じたことがあったのですが、それというのは商品企画の最終決定権を、各店舗の「おしゃリスタ」と呼ばれる妙齢の女性コーディネート・アドバイザーに大幅に委ねられていることです。

ちなみに「おしゃリスタ」とはGU独自の役職で「お客様にあったコーディネートを提案を行う」のが役割で、販売スタッフから3ヶ月に1回普段業務を見ながら、店長とSVの評価をもとに選ばれるだそうです。ここで得心させられるのは「真実の瞬間」の立役者の現場にいる販売スタッフに「マーケティングの重要な意思決定」が委ねられることです。

「おしゃリスタ」の欲求は、顧客の欲求とシンクロ(同期)しています。「顧客の声」をもとに企画、製作されたサンプルの最終チェックを、購買顧客の欲求とシンクロする「おしゃリスタ」が実際に試着して実感するのだから、これほど顧客の「意に沿える」ものはないでしょう。社長は、その現場にいて「容赦なしでね」と“念押し”までします。

想像してみてください。本部の役員である「おじさん連中」が「あーや、こーや」と愚にもつかない論理的な認識で選ばれる商品に、現実に売れる可能性があるのか。

GUの社長である柚木治さんは、おじさんというのにはまだ若いのですが、その柚木治さんをしてサンプル商品の最終チェックには口出しせずに、顧客にシンクロできる専門家である「おしゃリスタ」の感性に委ねており、あまつさえ「容赦なしでね」と言わしめています。「おしゃリスタ」こそを「これが、我々の競争力の源泉」だと言います。

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