NHK人事に菅政権が圧力?毎日新聞スクープが炙り出す「独立性」の嘘

shutterstock_1527689987
 

NHKの今年4月の役員人事において、板野裕爾専務理事が再任されました。この人事について、会長が示した同理事退任案が直前で撤回されていたと、毎日新聞が独自記事として伝えました。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんは、このスクープを受け、異例の理事4期目となった板野裕爾専務理事に関する過去の新聞報道を確認。2年前の役員人事でも疑問の声が上がりながら、またも再任された裏に、政権による圧力の存在を強く疑っています。

毎日新聞のスクープ「NHK人事問題」の人物を新聞各紙はどう報じてきたか?

きょうは《毎日》から。NHKの人事の問題で、《毎日》がスクープを飛ばしています。政権寄りとの評価がもっぱらの「板野裕爾」という人物の処遇を巡って、会長に圧力が掛かったのではないかと想像させるような出来事です。

検索については、《朝日》のデータベースでサイト内に「板野裕爾」が14件ヒットしましたので、これらを対象にしましょう。まずは《毎日》の2面と25面の記事それぞれの見出しと【セブンNEWS】第6項目の再掲から。

(2面)
NHK 異様な人事
専務理事退任案 会長が土壇場撤回
「政権寄り」内部から疑問の声
(25面)
板野氏再任「理由分からぬ」
NHK経営委員が異論
若返りに逆行
自民議員「官邸意向の可能性」
「自主自律」に疑念

毎日新聞。4月、NHKの前田晃伸会長が政権に近いとされる板野裕爾専務理事を退任させる役員人事案を経営委員へいったん郵送したのに、同意を得る経営委員会の直前に撤回、再任する案に変更していたことが判明。人事案は承認されたが委員2人が反対した。

以下、両記事の概要補足。いったん経営委員に送付された人事案が撤回されるのは極めて異例で、2人の反対者があったことも異例中の異例。

《毎日》は複数のNHK関係者に取材している。前田会長は事務方を通じて4月2日に最初の人事案を送付させたが、6日の経営委員会の直前になって「なかつたことにしてほしい」と事務方から連絡が行き、6日の会合で理由説明もなく最初の人事案の文書が回収されたという。次の会合となった4月20日、前田会長から板野氏再任の提案がなされ、多数決で承認された(高齢を理由に反対したのは渡辺博美、井伊雅子の両委員)。

通例、理事は2期4年で退任するが、板野氏は既に理事と専務理事を3期6年務めていて、異例の4期目に入っている。板野氏は放送総局長(専務理事)だった2015年、安保法案に関する複数の放送を見送るよう指示。当時の安倍政権の意向を背景に動いたと見られている人物。

print
いま読まれてます

  • NHK人事に菅政権が圧力?毎日新聞スクープが炙り出す「独立性」の嘘
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け