ブロックチェーン技術を応用したアート作品は打ち出の小槌になるか?

 

他の誰でもないあなただけ

まずはそもそもNFTってなんなんだろ?って話ですが、これ、ちょうど私先日大学で授業をしたばかりで、ガチンコで説明し始めるとこれだけでかなりの長文になってしまうので、雑にはしょって説明すると、「ブロックチェーンの技術を応用して、デジタルのデータを『これが本当のオリジナルなんですよ』と証明する技術」だと思っていただけると、大体あっていると言えるんじゃないですかね。

デジタルのデータってあたりまえですけど、コピーするのが簡単でいくらでも複製ができるし、複製しても劣化しないわけですよね。だから美術的な価値を作るのはすごく難しいわけです。

たとえばピカソならピカソの絵は「一点もの」だから高い、だけどたとえばシルクスクリーンとか複数印刷できるものはそれよりは安い。だから希少価値を出すために100枚しか印刷しないで連番をわざと入れたりするわけですね。

でもデジタルはコピーし放題だし、どれがオリジナルかわからない。もちろん作った人はいるからとうぜん「第一号」のデータはどこかにはあるんだけど、これまではそれを証明することができなかったわけです。ただ、NFTを使うと「これがオリジナルです」ということを証明できる(といわれている)わけですね、だから無数にコピーがあってもその「所有者」を一人に決めることができるということです。

やはりなんだかわからない

どうですか?なんだかわかったような、わからないような気持ちになったでしょう?それ、正しいです。これだけの説明で分かった方がむしろ変態で、そもそも穿った見方をすると「なんとなくみんながわかったようなわからないようなすごい気持ちにする」というのが目的なんじゃないかとゲスの勘ぐりをしてしまうくらいなので。

たとえばこんな例を考えてみてください。ここにアイドルAさんがいます、その人は人気者でたくさんのファンがいるわけですし、ファンはどんどん自然に増えていくわけですね。それを止めることはできない。ただもしそのアイドルAさんが「もし100万(1億でもいいけど)出す人がいたら、その人を“唯一正式なファン”だと認定します。それ以外の人は野良ファンです」と言ったとしたら?

熱烈なファンの人はその「真のファン」の座を獲得するためにオークションに参加して、もしかするとものすごい金額をぶっこみ始めるかもしれませんね。でも、その結果得られるのは?そう、ただ「唯一の正式なファン」であるという称号だけ。

実態としては他のファンとの区別はなく、特にそれによるメリットもありません。ただ称号を「所有」している実態があるのと、もしかしたらその称号を「譲渡または転売」することができるというだけです。ま、乱暴に言えばNFTアートってそんなもんです。

もちろん、絵とか動画とかデータにはそれなりのすごさがあるかもしれませんが、もっとも大事なのはいままでデジタルではどうしても出せなかった「希少性」というのを初めて作れるようになったということなんですよね。

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