中国が目論む「台湾撹乱戦争」6年以内に勃発も?戦狼外交の生みの親を駐米大使に任じた習近平の狙いとは

shutterstock_1155956518
 

先日掲載の「『台湾危機』勃発なら中国の攻撃で必ず巻き込まれる日本の都市名」でもお伝えしたとおり、米軍司令官が6年以内に起こる可能性を示唆した中国による台湾侵攻。7月末に実現した米国務副長官の訪中でも両国の融和が図られることはありませんでしたが、果たして中国は2027年までに台湾に対して軍事的なアクションを起こすのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、「6年以内の中国による台湾の武力統一は非常に困難」としてその理由を解説。さらに戦狼外交の生みの親を駐米大使としてワシントンに送り込む習近平政権の意図についても考察を巡らせています。

【関連】「台湾危機」勃発なら中国の攻撃で必ず巻き込まれる日本の都市名
【関連】米軍は台湾にすら近づけず。情報筋が明かした中国人民解放軍「真の実力」

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

米中対立の狭間で揺れる台湾

「台湾の“再統一”は中国、そして中華民族にとっての宿願であり、中国政府が成し遂げるべき最後のピース」

習近平国家主席が就任して以来、常に語られてきたのが、台湾の再統一です。毛沢東の成し遂げたカリスマ的な実績、そして一度は否定された実績を自らに重ね合わせ、中国を次の段階に押し上げ、新たなカリスマを目指す習近平国家主席にとって、香港の中国化、新疆ウイグル自治区およびチベットの中国化というピースを埋めた後に残る最後の、そして最も重要なピースこそが台湾です。

それは、習近平国家主席が2期目の任期をスタートさせる際に掲げた”One China and One Asia”構想にも表れています。側近と思われる方たち曰く、「台湾の再統一こそがOne Chinaのlast pieceであり、One Asiaのための不可欠なcritical pieceなのだ」とのこと。

ニクソン政権時に台湾を“見捨て”、中国共産党が統治する中国を外交相手として選んだアメリカとしては、そのパートナーである中国の望みに介入するようなことはないはずですが、冷戦時代に語られたドミノ理論の名残でしょうか。

中国共産党への対抗軸として、杭として存続し、また米国経済と不可分の関係を築いた台湾を“紅い波“から守るのは、自由民主主義の雄としての役割との考えから、アメリカ政府と軍は、象徴的な意味合いも込めて台湾の“現状維持“を、共産主義・全体主義との闘いの最前線に位置付けているように思われます。

それは南シナ海、ASEAN、東シナ海などに広がるアメリカと同盟国の権益と安全と並び、アメリカのアジア戦略にとって失うことのできない権益に位置付けられています。

トランプ大統領以前の政権では、時折、台湾を挟んだ米中の対峙はありましたが、あくまでも双方の覇権の分岐点としての位置づけを持っていたように思いますが、トランプ政権、そしてバイデン政権と、米中間の競争と対立が鮮明化してくるにつれ、台湾海峡のコントロールこそが、その対立の勝者のシンボルととらえられる向きがあるように思われます。

今年2月に行われた米中外交トップによる会談(@アラスカ)での意見の激しい対立は、米中の関係回復のチャンスをつぶし、対立・確執の図式が固定化されたようにも思われます。

それがはっきりしたのが、7月25日から26日のウェンディ・シャーマン米国務副長官の訪中時のやり取りでしょう。彼女は2月のアラスカでの会談にも同席していましたが、今回、バイデン政権の高官として初めて中国を訪問するということで、何らかの融和の機会を探るのかと期待されましたが、その期待は王毅外相が示した激しい対立姿勢で完全否定されました。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 中国が目論む「台湾撹乱戦争」6年以内に勃発も?戦狼外交の生みの親を駐米大使に任じた習近平の狙いとは
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け