アベノミクスの大罪。「円安は国益」というインチキ金融政策3つのウソ

reizei20210921
 

民主党政権末期、諸悪の根源のように扱われた円高を、金融緩和で円安に誘導した安倍前首相。しかしながら、我々庶民の生活が上向いた実感など到底持てないのが現状です。一体アベノミクスは私たちにどのようなメリット・デメリットをもたらしたのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、総裁選による自民党のリーダーシップに変化が生じそうな今こそ「アベノミクスの総括が必要」とし、「第一の矢」である金融緩和による円安誘導について徹底的に検証。そこから浮かび上がってきたのは「3つの悪質なウソ」と、円安政策の行き詰まりという現実でした。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2021年9月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

緊急告知・第3弾LIVE配信のお知らせ

 

政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報を届けしている冷泉彰彦さんが、メルマガ読者を対象にライブ配信を行います。この機会にぜひ初月無料のメルマガお試し購読をどうぞ。

 

テーマ:総裁選終盤、政局の最新状況を語りつくす
日時:2021/9/24(金)21:00~ ※90分程度を予定

 

この配信はメルマガ読者限定配信です。事前にメルマガの読者登録をお済ませください(初月無料のお試し購読期間でも視聴できます)。

 

視聴忘れのないように、まぐまぐ!Liveアプリでフォローをお願いします。配信開始時に通知が届きます。

 

視聴方法はこちらから。

 

※配信内容・時間は変更になる場合があります

政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報が届く冷泉彰彦さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

アベノミクスの功罪、今こそ徹底議論を

20日(月)、遂に米国市場に弱気の波が押し寄せてきました。表面的には、中国の不動産大手「恒大集団」の経営破綻懸念があり、これがダウも、NASDAQも売りを誘っているということになっています。ですが、問題はそれだけでないという見方もあります。

アメリカは自国の「極端な金融緩和」について、改めて明確に出口戦略を模索し始めています。これを株価が織り込むために、今回の「恒大ショック」を口実にしたという考え方が1つあります。その一方で、デルタ株によるコロナ「(アメリカでの)第4波」が学童などの感染拡大や、ワクチン接種率の停滞などからなかなか押さえ込めない中で、国内経済への悲観論があるためだという説もあります。

いずれにしても、世界の経済環境はこれから厳しい状況を迎えるという可能性を覚悟しておかねばなりません。といっても、リーマンショックのように、世界中が恐慌に陥るというわけではないと思います。ただ、大きなものや中位のものなど様々な変化の波が押し寄せる変化の時代になるのだと思います。今日の市場も、引けにかけては買いが入って、いました。

そんな中で、日本の場合は総裁選によって、自民党のリーダーシップに変化が生まれそうです。特に、今回の4名の候補は、「脱清和会(細田派=昔の福田派)」という性格を持っていることから、事実上2012年末から始まった「アベノミクス」経済政策について、見直しがされることとなりそうです。

ということは、今後の政策論議を深めていくには、この9年間の「アベノミクス」について一旦総括をしておく必要があると思います。

ちなみに、アベノミクスというのは「3つの矢」から成り立っていますが、2番目の公共投資については、今後も恐らくはゼロにはならない中で個別の政策論に入らないと議論になりません。また第3の問題である構造改革については、安倍政権自身が実は全くやる気がなく、結果的に菅から河野という流れの中でやっと問題提起がされた問題ですので、これも別に議論したいと思います。

問題は、「第1の矢」である金融緩和、特に円安誘導政策についてです。今回はこの問題について考えてみたいと思います。

まず2012年の当時は、どうして「円高がダメであり、円安が必要なのか」という説明として、日本は輸出型の経済だから、円高だとドルで見たコストが高くなり不利、従って円安になれば輸出産業が潤うという「70年代以来の」説明がされていました。

【関連】「安倍フォン」にビビる自民党議員。前首相の“テレアポ大作戦”で高市早苗が猛追、2位躍進目前で岸田陣営が窮地に

ですが、結果的にこれはウソであり、この9年間を通じてずっとウソであったばかりか、そのウソがどんどん拡大したということが言えると思います。この問題というのは、3つの悪質なウソから成り立っています。

print
いま読まれてます

  • アベノミクスの大罪。「円安は国益」というインチキ金融政策3つのウソ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け