岸田政権「賞味期限」は1年か。次期衆院選に勝っても政治が安定せぬ理由

 

先祖帰りの技術開発政策が必要

コロナ禍から抜け出して、やっと正常化が見える段階に来た。今後は、GoToトラベルやGoToイートなどの30兆円以上の経済対策を打ち、経済の正常化を真っ先におこなべきであるが、それだけでは日本経済は縮小均衡になり、衰退を止められない。

産業育成政策が必要である。国家が主導した産業育成策をとり、再度、日本を技術大国にするべきである。そのためには、戦後、日本を技術大国にした原因を調べることだ。

その結果わかることは、研究中心の国有企業が必要ということである。昔、日本が欧米諸国に追いついた原動力は、NTTと国鉄の研究機関が民間企業へ開発した技術を渡して、民間企業を育成したからである。その仕組みを中国も韓国もマネして、日本を技術力で追い抜いたのである。

韓国のようにLGとサムスンの民間企業へ研究資金援助して肩入れしてもよいが、一番いいのが、NTTやJR、郵政は、現在でも準国営企業でもあり、ここを使って研究開発して、できた技術を日本企業に開放して、日本企業の実力を上げることだ。

それ以外、中国や韓国に技術力で追いつかないはずである。大胆な研究開発投資を日本企業はしないので、準国営企業を使って大胆な研究開発費を行うしかない。自動車にはトヨタという巨大会社がいるので、国家も支援して巨額の研究費をねん出できるが、他の会社では無理である。

国が資金を出ないと研究開発費に投資できない。国の産業育成という意思が重要なのである。

その上、事業サービスに必要な技術開発という動機がない国の純粋な研究機関では、本当に事業で使える技術を開発できない。半導体技術を追いつくにも、準国営企業で、そこに大胆な研究投資をすることである。政策の方向が悪いと資金を出しても研究開発で実用的な技術はできない。

日銀が積極的にETF買いをしたことで、すでに株式保有率は高いので、国が少し資金を出して、研究開発させる有望事業会社を50%以上の資本を持つ準国有化すればよいのである。株価も上がり、産業育成もできるということになる。一石二鳥だ。

しかし、100%国有化すると、社員が甘えるので止めた方が良い。国は、あくまでも研究費の補助をするだけである。事業の儲けで、社員の給与と3%程度の配当金を出すことを求めることだ。

実務を伴う準国営企業の研究機関を作り、その成果で豊かな日本経済の道筋を付けるしかない。日本の成功をダメにしたのは、米国からの完全民営化要求で主要な研究機関を潰されたことである。

その機関とは、電電公社の通信研究所と国鉄の鉄道技術研究所である。この2つが開発した技術が日本の繁栄を作り、この2つの機関を潰されたことで、日本は長期衰退しているのである。

独占の弊害は、海外企業の競争会社を作ることで防ぎ、40%程度の民営化で研究所を国主導で存続して置くべきを、完全民営化して競争にさらして、金の卵を産む研究所をつぶしてしまった。

早く、そのことに気が付くべきであるが、米国に遠慮して、誰もいわなかった。戦後の技術発展の仕組みをなぜ、誰も見ないのであろうか?

国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

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