野党共闘に大打撃。れいわ山本太郎「東京8区騒動」が起きた真の理由

 

ところが、朝日新聞と産経新聞は、山本氏の東京8区出馬をめぐる地元の反発を以下のように報じた。

れいわ新選組の山本太郎代表が次期衆院選で東京8区から立候補をすると発表したことをめぐり、選挙区である東京都杉並区内で10日、市民有志が抗議する街頭活動を行った。100人ほどが集まり、「地元の市民を無視した密室談合だ」とれいわや立憲民主党に対する批判が相次いだ。
(朝日新聞)

れいわ新選組代表の山本太郎元参院議員が8日に出馬表明した衆院選東京8区で、立憲民主党の党員らが同党の枝野幸男代表宛に「野党統一候補は地域で根を張って活動してきた人物がなるべき」などとして説明を求める申し入れ書を提出したことが9日、分かった。同区では立民新人の吉田晴美氏で野党候補を一本化する調整が進んでいた経緯があり、同党員から山本氏の出馬に反発の声が上がっている。
(産経新聞)

どうやら深刻な行き違いがあったようだ。

2019年の参院選で、山本氏が“れいわ旋風”を巻き起こしたのは記憶に新しい。だが、特定枠を使って重度障害者の2人の当選を実現したものの、山本氏自身は落選した。

そのために、れいわ新選組の発信力は著しく低下、昨夏の東京都知事選に山本氏が出馬して巻き返しをはかったが、新型コロナ感染が広がるなか、得意とする街頭演説の力が思うように発揮できず、3位に甘んじた。

こうしたことへの反省から、山本氏は今度の衆院選では、とにかく勝つことにこだわった。菅前首相の神奈川2区や萩生田光一経産相の東京24区も候補にあがっただろうが、山本氏自身の出馬経験もあり、リベラル層の厚いといわれる東京8区のほうが、より勝利の確率が高いと踏んだようだ。候補者を一本化すれば勝てると見込める選挙区でこそ調整の意味がある。

しかしこれは山本氏側から見た理屈だ。一時的にせよこの選挙区からはじき出される立場になった吉田晴美氏にしてみれば、なぜ東京8区なんだということになる。

吉田氏は2017年の衆院選で立憲民主党から東京8区に出馬し、7万6,283票を獲得した。当選した石原伸晃氏は9万9,863票で、その差は2万3,580票。共産党候補の獲得票が2万2,399票であったことなどから、吉田氏に一本化すれば、互角の戦いができると判断された。吉田氏はこの間、地道な活動を続け、支持者を増やしてきたという自負がある。

両者の間を調整するのが各党間の話し合いである。山本氏の語る交渉経過はこうだ。

9月30日 枝野、山本両代表が会談。枝野氏から「やり取りがなされているのは知っている、別の者が対応に当たっているという発言にとどめる」という約束があった。

立憲側が8区撤退を示すのは公認発表をもってし、れいわは準備が間に合わないため、その数日前に代表の選挙区発表を行うことで合意した。

その後、立憲から8区の支持者への説得にもう少し時間が必要なため公認発表は遅くとも10月15日までには行いたい旨の連絡があったので、れいわはそれを了承し、10月8日に代表の選挙区発表を検討していることを立憲に伝えた。

立憲側からは「それで結構です」と返事があった。候補予定者と次の活躍の場を約束することも含めた念書を交わしたと立憲より連絡があった。

各党の正式決定はまだとしても、選挙の公示まで期間は残り僅か。山本氏は一刻も早く選挙区を発表し、戦いの陣形を整えたかったために、10月8日の表明にこだわったと思われる。

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