野党共闘に大打撃。れいわ山本太郎「東京8区騒動」が起きた真の理由

nakajima20190730
 

10月8日の街頭演説で、石原伸晃元自民党幹事長のお膝元である東京8区からの出馬を宣言したものの、同選挙区から立候補を予定していた立憲民主党公認候補の支持者らの猛烈な反発を受け、11日に撤回に追い込まれたれいわ新選組代表の山本太郎氏。政権交代実現に向けた野党共闘の重要性が叫ばれる中、なぜこのような不可解極まりない事態が起きてしまったのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、山本氏が語った立憲民主党との交渉経過を引きつつ騒動の真相を探るとともに、立民の党内マネジメントや代表のリーダーシップを不安視。その上で枝野幸男氏に対して、野党第一党の党首としての役割を果たすべきとの考えを示しています。

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山本太郎氏、東京8区出馬撤回の顛末

岸田政権の滑り出しは上々といいたいところだが、世論調査では人気イマイチのようである。それゆえ、19日に公示される衆議院選挙の行方は、野党共闘の成否にかかっているといっても過言ではない。

共闘のカギは、候補者一本化の調整がうまくいくかどうかだ。なのに、いったん東京8区での出馬を表明し、自分が野党統一候補だと主張していた、れいわ新選組代表、山本太郎氏が、出馬を撤回する事態となった。各党間の連携の乱れが露呈したかたちであり、野党共闘へのダメージが気になるところだ。

なぜこんなことになったのか。顛末をたどると、野党間調整の難しさが浮き彫りになった。

10月8日、新宿南口バスタ前で、山本太郎氏が「選挙区発表街宣!」と銘打って開いた街頭演説会。いつもの名調子で山本氏が語り始めた。

「まずは選挙区の発表から。いつになったら決めるのかと言われてきました。立候補する選挙区は東京の8区になります。杉並です。石原家のご子息のお膝元です」

立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の4党が民間団体「市民連合」の提示する共通政策で合意したのが9月8日。以来、衆議院選へ向け候補者一本化の調整が進められた。注目された山本氏の選挙区はなかなか決まらず、この街頭演説会で初めて発表される段取りだった。

東京8区では、石原伸晃元自民党幹事長が8期連続で当選している。山本氏は2012年12月の衆院選で東京8区に無所属で出馬、7万1,028票を獲得しながらも、13万2,521票の石原氏に敗れている。すなわち山本氏にすれば、リベンジの意味を持つ挑戦だった。

だが、この発表に憤慨した人々がいる。かねてから野党統一候補をめざして準備を進めてきた立憲民主党の新人・吉田晴美氏の支援者たちである。その一人がマイクを握って山本氏に質問した。

「昨日の夜まで山本太郎さんが8区から出るのを知らなかった。この選挙区はボトムアップでほぼ吉田さんに決まりかけていた。山本さんが出るんなら、最初から出てほしかった」

山本氏は次のように答えた。

「心苦しい。これまで活動してきたんだもの。でも、これ、調整だから。杉並は勝ちを取りに行ける大切な土地。もらいっぱなしではない。こちらも譲らなければならない所は出てくる。政党間のお互い様のやり取り。これが野党共闘。悔しい思いをさせてしまい、お詫びしたい。でも議席獲得目標に向けて、できれば鼻をつまんで一緒にやってもらえたら、こんなにありがたいことはないです」

自分を統一候補とすることは、野党間ですでに決まっている、というのが山本氏の認識だった。おそらく、山本氏の師匠格にあたる立憲の小沢一郎氏あたりもパイプ役として動いていたのだろう。小沢氏は同党の平野博文選対委員長から「選挙にこれまでの知見を貸していただきたい」と要請を受けている。

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