アパレルのプロが大胆提案「武道カジュアル」に大きな可能性を感じたワケ

 

3.クラウドファンディングを前提にする

クラウドファンディングのリードは以下でどうだろう。
コンセプトは「武道家の普段着」。普段着だが、背筋を正すことを忘れない。西欧風の生活をしていても日本の心を忘れない。過度な装飾を排し、あくまで「質実剛健」を重視した「日本の普段着」。これまで武道具一筋のメーカーが、デザイナーの○○氏とのコラボレーションにより初めて普段着に挑戦します。

ブランド名は「?印?着(ここでは秘密)」。?は、目立たないが戦いの中で身を守る重要なもの。?をシンボルにすることで、武道家の心と心身を守護するという機能を表現しています。?着、??着の省略であり、アウトドアで着用する普段着を表しています。

4.工場が取り組みやすい商品開発

商品開発コンセプトは、社内の資産を最大限に生かすこと。利益が見込めない段階で過大な投資は行わず、まず、試作品を作ってクラウドファンディングでテストマーケティングを行う。クラウドファンディングは前払いで受注生産が可能なので、メーカーにとってはリスクがほとんどない。また、通常流れている素材を使えば、新たな素材開発、素材調達は必要ない。

縫製仕様も社内の設備で可能なものとする。その上で、もし可能ならば後加工の工場との連携を考える。例えば製品染めの工場、製品洗いの工場、捺染、刺繍の工場等。

商品開発には優先順位をつけて行う。最初は、既存の武道着の簡単なアレンジでできることを行う。丈や幅を変える。紐を加える。在庫の中で生地を交換する。ステッチを変える等々。

第2は、洋服の立体的なパターンを取り入れる。仕様はなるべく変えない。あくまで質実剛健な構造とする。ここまでは武道着の縫製工場内で行う。第3は、他の縫製工場とのコラボレーションにより、より立体的で本格的な洋服を作る。その場合も、まずは武道着の生地を使う。

以上のような開発手法により、試作したサンプルを次々とクラウドファンディングにかけて市場ニーズを把握しながら商品開発を進めていく。

通常は、商品開発コンセプトを決めずに、いきなり商品コンセプトを立案し、デザイナーの指示通りに試作を進めていく。デザイナーは工場の設備や工程、技術等を理解せずに、個人の嗜好を優先することも多いので、そうなると互いに不満が溜まり、最終的にプロジェクトは崩壊してしまう。そこで、工場がどのように開発を進めればいいのか。どの範囲の仕事になるのかを十分に説明する必要があるだろう。

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