「逃げるは恥」なんてむしろ逆。Netflixに学ぶ失敗を許容する重要性

 

Netflixから学ぶ変化の時代の事業の進め方

実はNetflixですね、覚えていないかもしれないですが、最初はDVDの郵送モデルで始まったんですね。日本でも、TSUTAYAさんとか、ぽすれんさんとかですね、いくつかの会社さんがやられてたんですけれども、DVDを店まで借りに行くのが、めんどくさい。

そういった方々に対して、DVDを郵送で貸してあげるので、専用の封筒で入れて返して。返したらまた次のDVDが借りれる。というモデルで始めたんですね。

ただ、Netflixのおもしろいところが、これが絶対の成功だ、って始めたわけじゃないんですよ。端的に言って、逃げて、DVDの郵送モデルを始めているんですね。

なぜなら、リアルな店舗が中心で、今の時代みたいにネットの回線も遅く、家でネットで映画が見れないという時代では、お店でDVDを借りるというのが、ビジネスの中心だったんですね。

そうすると、既に近所のいい場所に競合のレンタルビデオ屋さんがあると、なかなか新しいところは勝てないわけです。なので、Netflixはリアルの店舗からは逃げて、郵送モデルにしたんですね。

ただ、ここで彼らは気づくわけです。毎回DVDを借りるたびに課金をしていると、お客さんが借りてくれない。ということで、次に逃げたのが月額という場所なんですね。

月額にすることで、安定的な収入を得るようになった一方で、次に何に困ったか、というと、みんな人気のDVDを借りてしまって、すぐにDVDが借り切れになっちゃうんですよね。

そうすると、せっかく月額払っているのに、自分の観たいDVDを借りれないじゃないか。というクレームに見舞われるわけです。

ここからがおもしろくて、どうやって活路を見出したかというと、Netflixはじゃあ他に映画を観る楽しみがないかとユーザーに聞いたり、探し回ったわけです。

そうすると、非常におもしろいのが、月額で払うとなると、今までは本当に借りたいものしか借りない。っていうのから、月額払っているんだから、借りないと損。っていうふうになる人たちが、あらわれるんですね。

お気に入りの映画監督の映画を全て借りたりだとか、ある女優の作品をすべて観に行きたい。みたいな、非常にロングテールな細く長く全部観ていく。っていう、新しいDVDの借り方って“意味”を見つけるんですね。

あと、もうひとつは月額で借りっぱなしなので、一回観て楽しいよりも、ずっとBGVとして楽しいっていうような、新しい映画の使い方の“意味”をNetflixは発見したんですね。

じゃあ、全ての作品を見たくなるような映画監督って、どんな映画作品の映画監督なんだろうか。全ての作品をみたくなるような女優の映画作品ってどんな作品なんだろうか。

っていうのを研究するためにデータ分析っていうものにものすごい力をいれていくんですね。

その結果、まだAIが発達していない時代から、お客さんが好きそうな映画監督だとか、お客さんが好きそうな女優とか俳優をおススメするという機能をものすごく発達させることになりました。

こういうことをやっていると、来るわけです。

インターネットの常時接続と高速回線。

これによって、レンタルDVDの業界のゲームが圧倒的に変わっちゃうんですよね。

今まで、お店をかかえていたレンタルビデオ屋さんは、むしろお店をかかえるコストが重たくなってきますよね。

インターネットにつながっていれば、人気の作品は、いつでも見られるし、DVDと違ってどんなに人気の作品だろうが、サーバー上にあればみんなが見られる。

そうすると、人気の作品をたくさん抱えるという規模の経済がむしろコストになってきて、人気作品をいち早く誰でも観られますよ。というのが誰でもできる戦いになっちゃったんですよね。

そうすると今までのレンタルビデオ店はダメになっていくのに対して、Netflixっていうのはずっとみていたくなるような映画監督や俳優とかのデータをたくさん持っているし、ロングテールに幅広く持っていたので、どんどん会員数を伸ばしていくっていう風になるわけです。

こういう風におもしろいのは、時代の中心から外れた場所に新しい領土を求めていると、技術が革新することによって、そこが中心になるってことがあるんですね。

大事なのは、新しい技術の中心になったとわかったら、アクセルを踏むことです。なのでNetflixは時代の中心が来たとわかったから、あらゆる家電量販店やスーパーに自分たちの端末を非常に安く販売しました。

安売りをしても、後で月額で回収できるので、最初は安売りしてものちのち黒字になることがわかっていたので、大攻勢をかけてユーザー数をグィーンって伸ばすんですね。

こういう風に、

  1. 誤ったときはすぐに逃げる
  2. 逃げたときに感度が良さそうなところ、今まで積み上げたものとは関係なく、ゼロベースで探してみる
  3. そうしていると、時代が変わって、テクノロジーが変わって、自分のいる場所が中心になる
  4. 中心になったら全力でアクセルを踏む

この構成がエマージェントストラテジーで非常に大事なんです。

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