少子化問題で、中国は覇権国家になれない
原因はわからなくても事実は事実。少子化問題は、人口減少問題、高齢化問題を引き起こす。そして、「中国が世界の覇権を握る」という野望の達成を困難にします。
石平さんはいいます。
出生数の継続的低減が引き起こす人口問題の発生が、いずれ最大のネックとなって中国の経済成長を終焉させ、そしてこの巨大国の世界的覇権樹立の最大の阻害要因となってくる。
(同上)
そのとおりでしょう。
「大国の3大条件」というのがあります。
- 経済力
- 軍事力
- 人口
もちろん、イギリスやアメリカの例を見れば、「人口が世界一でなければ覇権国家になれない」わけではありません。
ですが、人口が増えれば、国の経済力は強くなる。経済力が強くなれば、軍事力も比例して強くなる。そういう因果関係は、かなり成り立ちます。
逆に、人口が減少すると、経済力が弱まっていく。もちろん、人口が減少していても、経済力を高めることはできますが、増えている場合と比べると簡単ではありません。
人口が減少すると、経済力が下がる。経済力が下がると、軍事費もそれに比例して下がっていく。
そうなると、出生数が激減している中国が、今後右肩あがりで成長して覇権国家になるというシナリオは、あり得ないでしょう。
インドの時代が来る
ちなみに、国連の予測では、インドの人口は2024年、中国を抜いて世界一になります。そして、2050年になると、インドの人口は、中国より3億人多くなる。そうなると、ほぼ確実に、インドのGDPが世界一になるでしょう。アジアは、インドと中国の二強体制になります。
一方、アメリカのパワーは20世紀のイギリスがそうだったように衰えていくでしょう。アメリカは、すでに中東から撤退し始めている。その後は、欧州、最後にはアジアから引き上げることになるでしょう。そうなる前に、日本は軍事的自立を成し遂げる必要がある。
さらに、アメリカとの同盟を維持しつつ、最強国に変貌する民主主義国家インドとの関係を深めていく必要があります。日本の安全保障の核は、日米印同盟になるか。あるいは、アメリカが画策しているように、「アジア版NATO」ができればもっといいでしょう。
いずれにしても中国は、少子化問題、人口問題などが原因で世界の覇権国家にはなれません。「ウイグル人をジェノサイドしている国」は、客観的理由で覇権をとれないのです。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年1月23日号より一部抜粋)
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