パナソニックも実践。新時代の人材投資「エンプロイジャーニー」とは?

 

長期的で「個人」に目を向けた視点

これまでの労務管理は、短期的な対応をしていました。

例えば、目の前で困っている社員がいた時。ついつい目先の事象に気を取られ、「今この人は何に困ってるんだろう」と考え、これを解決しようとしまいがちです。もちろんそれも非常に重要ではありますが、それだけに集中しすぎるのは短期的な視点であり、長い目で見ればベストなアクションとは言えません。

目の前にいる社員を、今その瞬間の点で見るのではなく、過去から将来に向けて起こるいろんな変化を想像することが重要だと考えています。

例えば社員が20代であれば、こんな想像をしてみましょう。もしかしたらこれから結婚して、家を購入して、お子さんが産まれて、もしかしたら引っ越しをするかもしれない。そこからいろんなことに挑戦して職場を変えるかもしれないし、戻ってくるかもしれない。

こういったライフサイクルは、20代30代40代でも違います。なので、長期的なサイクルの視点・観点で接していく、もっと言えば、目の前の社員はどのような過去を辿ってきて今の価値観を身に着けたのか、将来どのような人生を送りたがっているのか「興味・感心を持つ」ことが重要なのではないでしょうか。

社員一人ひとりは、会社にとっては目的(ビジネスの成功)のための手段のひとつですが、逆に個人の視点に立って見れば、会社は人生を充実させるための手段のひとつでもあります。ということは、互いにWin-Winを目指せる関係を目指さなければいけません。

リーダーはその点を意識して、接し方を変えていく必要があるでしょう。

これより先はより具体的に、世界的企業のパナソニックさんの実例から学んでいきましょう。特に「長期的」「個人」の2点を意識してケーススタディに取り組んでいただければと思います。

ケーススタディ:パナソニックのCHRO

CHROとは、人事最高責任者のこと。26万人もの社員が居るパナソニックのCHROである三島茂樹氏のメッセージから、エンプロイージャーニーについて学んでいきましょう。

こちらの記事を参考にしています。

人事は従業員26万人の「旅先案内人」であれ。パナソニックが描くエンプロイージャーニー

人事は、従業員の「旅先案内人」であれ

こちらが、三島茂樹氏のメッセージです。

エンプロイージャーニーは社員の人生を「旅」と表現していることから、まさに旅先案内人という表現がよく当てはまるでしょう。

パナソニックの取り組みとしては、例えば2018年から社内複業や社外留職といった、従業員に「挑戦する機会」を与える仕組みを開始しています。

人事は、社内で「挑戦する個人」に対し、旅先案内人としてアプローチ。エンプロイ─ジャーニーマップと呼ばれるフレームワークを使い、挑戦する過程で生じるペイン(不安や不都合、不足など)に対しどう寄り添っていけるか仮説検証する取り組みもスタートしています。

エンプロイージャーニーマップの例は、以下の図の通り。

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従業員が入社してから退職するまでに経験するであろう一連の出来事を、その時の感情や思考、また人事施策とマッピングすることで体系立てています。

社員一人ひとりと向き合う。それに尽きる

パナソニックは26万人もの社員が居る大企業ではありますが、同社CHRO三島茂樹氏は、以下のように話しています。

26万人を一括管理する制度を提供するのが人事ではない。どんな時も、常に社員一人ひとりと向き合うこと。そして常に新しいものを受け入れ、変革の先頭に立って会社を変えていく存在が人事でありたい

マス管理せず、一人ひとりと向き合ってこそ、人事は経営に資する

最も大切なことは、社員一人ひとりと向き合うこと。もうそれに尽きる

ここで言われている「人事」という言葉は、「リーダー」に置き換えてもいいでしょう。

つまり、従来のマス管理体制から、社員一人ひとりと向き合う姿勢にしていくことが重要なのです。

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