核を放棄し侵略されたウクライナ。北朝鮮がミサイル発射を繰り返すワケ

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今年に入りわずか3ヶ月の間に、11回ものミサイル発射実験を行なった北朝鮮。3月24日には米本土を射程に収めるICBMを打ち上げましたが、なぜ北はここまで頻繁に実験を繰り返すのでしょうか。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんがその理由を解説。さらに金正恩総書記は「核を放棄したウクライナの前例」を教訓とし、絶対に核を手放すことはしないと断言するとともに、対米軍事挑発はますます強まると予測しています。

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2022年4月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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北朝鮮の相次ぐミサイル発射は米国への恫喝と核保有の正当化が目的

北朝鮮は今年1月に7回ものミサイル発射実験を行った。しかし、2月に入るとピタリとミサイルの「乱れ打ち」は止まった。これは北朝鮮の最大の友好国で擁護国でもある中国の北京で冬季オリンピックが開催されたからである。

3月には冬季パラリンピックが開催されるので、3月もミサイル発射実験は行わないだろうと予想されていたが、冬季オリンピックが終わるや2月27日には、8回目となる弾道ミサイルを日本海に発射した。

北朝鮮は偵察衛星開発のための行程計画に基づいた重要な試験を行ったと発表し、偵察衛星が宇宙から撮影したとされる朝鮮半島の画像を公開した。しかし、米韓は、北朝鮮が偵察衛を地球の周回軌道に乗せ運用する技術に至っていないと分析している。

北朝鮮は、3月5日には国際社会がロシアによるウクライナ侵攻に対応している中、また、発射実験前日の3月44日には北京パラリンピックが開幕したのにもかかわらず、9回目の発射実験を行った。北朝鮮にとってパラリンピックは、「障害者問題に限らず普遍的な人権感覚が欠如しており、五輪ほどの配慮はしないだろう」と指摘されていた通りに発射実験を強行した。

北朝鮮外務省は、研究者の談話として、「ウクライナで起きている事態はロシアの安全保障上の要求を無視し、一方的に制裁や圧迫に固執してきた米国の強権と横暴が根本的な原因だ」として米国を非難し、ロシアを擁護した。

北朝鮮は3月16日に、またもや弾道ミサイル発射実験を行ったが、発射直後に空中で爆発し首都平壌に大量の「破片の雨」が降り、民間被害が発生した。しかし、北朝鮮のメディアは、ミサイル発射の成功可否については報じていない。

今回の実験失敗で、今後のミサイル発射実験に多少の歯止めがかかるのではと予測する向きもあったが、平壌市民が発射失敗を目撃し、しかも、破片の雨の被害が出た以上、急いで「成功のメッセージ」を伝える必要が出てきた。そこで、3月25日の朝鮮中央通信は、首都平壌の順安国際空港で24日、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」を発射したと発表した。

この11回目となる新型の弾道ミサイルは、北海道西150キロメートルの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。飛行距離約1,100キロメートル、最高高度約6,200キロ・メートルで、過去最長となる71分間飛行した。

北朝鮮が発射したと発表した新型ICBM・火星17は、片側11輪の巨大な移動式発射台に搭載され、世界で最も全長が長いとされる。米国本土全域を収める射程に加え、複数の核弾頭を搭載することで脅威を増した。

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