越えてしまった一線。ロシアの民間人大虐殺で近づいた第3次世界大戦

 

また今回、何度も話題になるNATO憲章第5条の集団的自衛権の行使に即して、もし噂されるようにロシア軍の影響がウクライナの国境を越えてポーランドに及んだ場合、EUやアメリカは本当にポーランド防衛のためにロシアと戦う用意はあるでしょうか?

そのようなジレンマに襲われかねない状況がすぐそこまで来ているかもしれません。

EUおよびNATOにおけるポーランドとハンガリーの問題は、ウクライナ紛争への対応と並行してしっかりと解決されておく必要がありますが、実際のNATOとEUの対応を見ていると、あえて見て見ぬふりを決め込んでいるように思われます。

ちょうど、このメルマガが皆さんの下に届くころ、まだブリュッセルで開催されているであろうNATO外相会議で、この問題にどう向き合われるかによって、今後の方向性が見えてきてしまうかもしれません。

そのNATO外相会議ですが、域外の日本・韓国・オーストラリアもゲストとして迎えられていますが、その会合でのテーマは「軍事的な支援の拡充へのコミットメント」と「経済的な対ロ制裁の強化」、そして早くも「ウクライナの戦後復興に向けたプラン」と伝えられています。

その中で軍事的な支援の拡充に絡み、米英豪(AUKUS)が“ロシアへの対抗”という名目で寄合い、よりハイテクで高速の兵器開発と配備で協力し、先端軍事での協力を謳うそうです。

ロシア軍がウクライナで使用した極超音速ミサイルに対抗するために、極超音速兵器の共同開発に乗り出すようですし、DARPAの名で知られる「米国防高等研究計画局」によると、極超音速の巡航ミサイルの製造が終わり、近々実戦配備され、また無人の自律型潜水艦も配備されるというように、ロシアの脅威を盾に、実質的な軍拡に向かっているように見えます。

一応、ロシアを直接に刺激しすぎないようにとの配慮からか、トランプ政権以降、継続されてきた長距離弾道ミサイル(ICBM)の開発と実験は停止されているようですが、先端軍事の方向に協力の軸を移すことで、ロシアではなく、実際には中国に対する圧力を強めているとも考えられます。

そして今、ウクライナ軍の抗戦を助けるという名目で、欧米諸国が挙って軍事支援を行っていますが、そのレベルが次第に高度化していく中で、見えてくる図式があります。

それは、各国の先端兵器の実戦での実験がロシアを相手に、ウクライナ軍の手を借りて行われているという見解です。

今回、2月24日のロシア軍によるウクライナ全土への侵攻を受けても、NATOは動かずに、ウクライナへの武器供与にとどめてきていますが、この裏には「自ら手を下して、直接的にロシアに牙をむくのは避けつつ、ロシアの弱体化を図りたい」との意図が見え隠れします。

ウクライナ軍による抗戦というナラティブを通じて、ロシアを自国の兵器で攻撃し、その出来栄えを確認するという、残念ながら、欧米諸国の武器商人の皆さんの見本会場として、ウクライナが使われているように思えてなりません。

もしかしたら、また私の妄想かもしれませんが、いろいろと提供される報告や情報を俯瞰してみてみると、そのような図式が見えてしまいます。

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