米国流日本式経営の限界とは?
アルバートソンズを関西スーパーがなぜベンチマークしたか?それは創業者ジョーアルバートソンズの語った「豆の缶詰は誰でも売ることができる。我々は良いサービスを売りたい」という文言が、それぞれの役割ごとに職務としてシンプルに指示され取り組みとなり仕組み化され機能されている現場を見るためです。
が、アルバートソンズは、1999年アメリカンストアーズ買収により市場開拓へ向けて、独立型ドラッグストアという業態を武器に食以外の分野で東部へ進出を企て、2,000店を超える店舗数を更に拡大しようと進んでいきます。
その時アルバートソンズのお店を訪れた際、アルバートソンズ生え抜きの店長にインタビュ─すると店長は「いやー、アメリカンストアと合併してから商品調達コストの効率化のための現場への指示がくるけど、現場は指示された業務をこなすだけで、そこのマネージャーには職務に沿った指示確認事項が明文化されていないんだ。だから現場に質問されて説明するにも人によっては解釈が違い、現場も理解で混乱しているんだ…」と言っていたのを覚えています。
2022年の全米売上ランキングでは、米スーパー最大手のクローガーに続き、スーパーアルバートソンズは第二位を堅持し、アマゾンが独自の食品スーパーチェーンを強化する動きを進める中で、グーグルと手を組み、食料品の購入体験をデジタル化する計画を明らかにしました。
もしアルバートソンズがアメリカンストアと合併せず、アメリカで創業者ジョーアルバートソンの言う、「豆の缶詰は誰でも売ることができる。我々は良いサービスを売りたい」を継承し続けたとしたら、米国流日本式経営により、関西スーパーが学ぼうとした、効率と人がシナジーを生み出す、持続可能なビジネスモデルがスーパー・オーケーにより確立させたかもしれません。
米国流日本式経営の限界とは、効率を求めるスーパーのビジネスモデルを信奉するのではなく、生産地と消費者とをリンクさせることで成り立つ第3の持続可能なビジネスにより生まれてくるでしょう。
image by: yu_photo / Shutterstock.com