中国と戦争すれば「米軍敗北は必至」という事実を日本メディアが伝えぬ理由

2022.06.01
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前政権の対中強硬政策を踏襲し、台湾海峡問題についても積極的な関与姿勢を見せるアメリカ政府。先日行われた日米首脳会談後の共同記者会見でも、バイデン大統領は台湾有事の際に軍事介入を行なうことを明言しましたが、そもそも米軍は中国人民解放軍を打ち負かすことが可能なのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、アメリカ国内の専門家の間では台湾危機における米軍の敗戦予測はほぼ常識となっているとし、彼らがそう判断する根拠を列挙。さらにこれらの「常識」が日本で報じられない理由を明かしています。

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プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

そうは言っても米国は中国に勝てるのか?/バイデンの「台湾有事介入」宣言の裏側の現実

バイデン米大統領が5月23日、日米首脳会談後の会見で台湾防衛のために軍事的に関与する用意があるかと問われ、「ある。それがわれわれの決意だ」と答えた。いよいよキッシンジャー以来のこの問題についての「戦略的曖昧さ」を投げ捨てたのかとか、いや彼がこういうことを言って国務省や国防総省がやんわり否定するというパターンはこれで3回繰り返されていて驚くほどのことではないとか、ひとしきり取り沙汰されたが、これを巡る本当の問題は、仮に彼が台湾防衛のために中国と戦うことになったとして、果たして勝てる可能性はあるのか、ということである。

28日付「ニューヨーク・タイムズ」論説欄で米スタンフォード大学のフリーマン国際問題研究所のオリアナ・マストロ研究員は「バイデンは台湾を応援すると言うが、本当か?」と問いかけた。彼は、自分がこれまでに参加した10件以上の米中戦争のゲームや机上演習で、米軍は、中国軍を撃退することができずに、多大な損失を被りながら敗退したと指摘。だとすると、バイデン発言はたぶん中国の攻撃を抑止することを目的としたものなのだろうが、そうなるのであれば結構なことだと、かなり皮肉な調子で述べている。

海軍力の差は歴然

彼が指摘する台湾有事の実際における中米間の戦力格差は次の4点である。

第1に、20年前には中国の練度の低い陸軍とほとんど時代遅れの海空軍には勝ち目がなかった。しかし20年間におよぶ軍の近代化を通じて中国は今や世界最大の海軍を保有している。それに比べて米国が台湾の紛争に投入できる船舶は遥かに少ない。また中国のミサイル部隊は洋上の船舶に目標を定める能力を持っており、米国の戦力投入の主な手段である空母を壊滅させることができる。

第2に、米国は世界最先端のジェット戦闘機を保有しているが、それらが台湾海峡で無給油で作戦行動できる圏内には日本の2つの基地〔嘉手納と横田〕しかない。それに比べて中国は台北から500マイル以内に39の空軍基地を持つ。

第3に、中国の指導者が米国を巻き込んだ戦争を覚悟した時には、まずこの地域の米軍部隊に先制攻撃を仕掛ける以外に選択はない。その場合、日本にある主な米軍基地と空母がミサイル攻撃の対象となるだろうが、これに対しては米軍がいかに訓練と経験を積んでもほとんど役に立たない。

第4に、米軍は長い距離を超えて戦力を投入しなければならないので、それだけ中国の電子・サイバー戦争能力に対して脆弱にならざるを得ない。中国は米軍の輸送司令部のネットワークをサイバー攻撃により撹乱し、また衛星を打撃して通信、ナビ、目標設定、指令制御を妨害するだろう。それに対して中国側は、本拠地にあってより安全な光ファイバー回線のようなネットワークを活用できる……。

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