究極のムダ。日本の学校が「夏休み廃止」を決断すればすべて上手く回る訳

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いよいよスタートまで1ヶ月を切った子供たちの夏休み。レジャーや里帰り等の心躍るイベントが満喫できる一方、毎年子供ばかりではなく親までもが「大量の宿題」に悩ませられる期間でもあります。そんな宿題ばかりか、夏休みそのものの必要性に疑問を投げかけているのは、プリンストン日本語学校高等部主任を務める米国在住作家の冷泉彰彦さん。冷泉さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で今回、夏休みの廃止が有益である理由を示すとともに、それ以外にも日本の教育界が捨て去るべき悪弊の数々を列挙しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年6月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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教育現場の悪習、即刻廃止すべき点の数々

もうすぐ夏休みの季節を迎えます。コロナ禍の中で、色々なものが見直されていたのが、今年については「元に戻す」動きが顕著です。もちろん、マスクなしの屋外活動などは歓迎ですが、学校現場には長い間見直されることなく、惰性で続いている悪習がたくさんあります。

コロナ禍に加えて、教育現場においては教師の作業量がオーバーフローしている問題、そしてその裏返しとして志望者が激減し教員の確保が難しくなっている問題もあります。この機会に「止めるべきことは止める」ということが必要と思います。せっかくですから、一気に並べてみましょう。

まず、夏休みの宿題です。休み前の復習や、再開後を見据えた予習、あるいは到達度に応じた応用問題へのチャレンジとか、反対に基礎の確認といった教科内容に関するものであれば、大いにやったら良いと思います。学生生徒の本分は勉強だからです。

ですが、日本の学校では昔から妙な宿題があります。自由研究、日記、読書感想文の3点セットです。まず読書感想文については、読書は大いにやるべきで、その本に対する評価を文章化するのも良い勉強になります。ですが、日本の読書感想文というのは、基本的に「読んだ本はいい本だとする」「感動したなどと情緒的に書く」「ついでに自分の生活に引きつけて書くといい」といったフォーマットがあり、その枠に「感想を入れ込む」という思考停止の訓練になっています。作品を批判したり、論点を展開することを含めた「批評」であれば学習効果はありますが、読書感想文ではダメだと思います。

次に日記ですが、日記の目的も、その書き方の指導もしないで「とにかく毎日書け」というのは思考停止です。どうせやるなら、ブログを毎日アップさせてビューを競うぐらいやればいいし、本当に自省的な日記カルチャーを教えたいのなら、休みの期間ではなく学期中に学校で起きたことなどを中心に問題提起化型の日録を書かせればいいのです。

最悪なのは自由研究です。全く意味不明ですし、そもそも教員には指導能力も評価能力もない中で、惰性でやっているわけです。即刻廃止でいいと思います。

だいぶ減りましたが、プール指導も意味がないと思います。日本は海と川があるので、水難事故を防ぐために「泳げるようにする」のが目標なら、その目標達成から逆算してプログラムを組めばいいのです。タイムが遅くても遠泳や競技水泳を学ばせたいのなら、同じようにプログラムを組むべきです。夏休みに何となく、プール登校日を設けて教員を疲弊させ、リスクを負わせるのは意味はないと思います。

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