コロナに続く災厄。日本にも入り込んだ「サル痘(エムポックス)」の危険度と今後

 

サル痘感染の広がり 実際は猿の病気ではない

サル痘は、人に感染した場合、3日~1週間ほどに潜伏期間を経て、発症。最初は0日~2週間は発熱やリンパの腫れ、その後に顔から全身に発疹が広がる。ただ、発疹が突如、出る例も報告されている。

「サル痘」という名称は、1958年に最初に感染が見つかったのが、カニクイザルをいうサルの仲間だったため。ただ、サル痘は猿の病気ではない。

そもそも、自然界でサル痘のウイルスをもともと持っていう動物が何なのかもわかっていない。

さらに、サル痘が見つかった猿もデンマークのコペンバーゲンの研究所で飼育されていた猿で、その猿も最初に流行地とされたアフリカからではなく、シンガポールから輸入されたものだった。

しかも、歴史的にもサルから人間に感染した事例も、1例か2例しか報告されておらず、そもそも「サル痘」という名称は適当であるのか、という問題もある。

わかっているとは、アフリカで徐々に感染の拡大が広がっていったということ。

1970年に初めて、中央アフリカのザイール(現在のコンゴ民主共和国)で感染が確認されてから、1970年代にザイールで38人、西アフリカのリベリアで4人、ナイジェリアで3人の感染が確認。

1980年代になると、感染地は西アフリカに移り、ザイールだけで343人が確認された。1990年代になると、10年間で511人、ザイールだけで確認、風土病であると認知され、いったんは世界から忘れ去られた。

しかし、2000年代に入ると、コンゴ民主共和国で10年間に1万27人の感染者が確認。そして2003年に初めてアフリカ以外の国で確認された。

アメリカで47人の感染者が確認。アフリカから輸入されたげっ歯類と一緒に飼育したプレーリードッグがペットとなり、そこから感染が広がった。

2017年以降になると、ナイジェリアからの渡航者を介して、イギリスやイスラエル、シンガポールでも感染例が報告された。

今回、感染が広がっていることについて、WHOやECDC(ヨーロッパ疾病予防管理センター)は、密接な接触によって誰もが感染する可能性があるとしたうえで、これまでの追跡調査で確認された患者の多くについては、男性どうしでの性的な接触があったとする。

また、一部の専門家はヨーロッパ各地で開かれた大規模なイベントを介して感染が広がった可能性を示唆。今後、夏に向けてこうしたイベントがさらに増えるとみられることから各国は注意を呼びかけている。

一方で、感染経路が特定できない、いわゆる「市中感染」とみられる患者や、女性の患者も確認されているとし、特定のグループの人々の病気としてとらえずに、警戒すべきだとする。

WHOはサル痘にかかった人と密接に接触したことのある人は誰もが感染するリスクがあるとし、

「病気を理由に不当な扱いを受ける人がいてはならない」

とする。

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