働くことをやめられない悲惨な生活。いつまでも“老後”がない「老後レス社会」がやってきた

2022.08.23
 

自営業・フリーランスは、老後の備えがとくに必要!

高齢になっても、働き続けなくてはいけないという理由には、年金受給額が少ないというケースが多いようです。

会社員や公務員で長く働いてきた人には、厚生年金がありますので、ある程度の年金が支給されるはずです。ですから、生活をするという最低ラインはなんとかなると思います。ただ借金が多いとか、支出が多いという人は厳しい生活になると思いますが。

それに比べて、自営業・フリーランスの人は、国民年金しかないので年金支給額が少ないです。かなりの貯蓄をしておかないと老後の生活が成り立たなくなるのです。しかし、フリーランス・自営業者の方は、定年がありませんから、その分長く働くことができます。

さりとて、フリーランス・自営業者の方は、高齢になるまでにかなりの備えをしておく必要があります。

その分、フリーランス・自営業者だからこそ使える有利な制度がいくつも用意はされています。国民年金基金、個人型確定拠出年金(イデコ)、小規模企業共済、付加年金などがそうです。会社員よりも使いこなせれば得な制度が多いのです。

ぜひとも、備えていただきたいです。

生きがいのために「働く」のが理想

冒頭で紹介した柏耕一さんの例では、現役時代は編集プロダクションの社長で、ベストセラーもどんどん出していて順風満帆だったそうです。しかし、ギャンブルなどで税金が未払いになり、いまの暮らしのようになっていったそうです。

「生きがいのため」「社会とのつながりのため」という理由で、ずっと現役で働けるのは、いいことだとは思います。しかし、働くのを辞めたくても経済的な理由で辞められないというのは、つらいですね。その場合は、病気とかケガをして働けなくなると困ります。綱渡りのような老後は避けたいですね。

そうならないためにも、老後の備えをしっかりとしておく必要があります。老後は生きがいのために「働いている」というスタンスが理想だと思います。

参考資料

労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約
「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」の概要
平成30年 高齢期における社会保障に関する意識調査報告

プロフィール:長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『定年の教科書』(河出書房新社)、『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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長尾 義弘

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